体験記

パニック障害で電車に乗れない人へ|私が20年かけて克服した方法

2026年6月16日

パニック障害で電車に乗れなくなった日

私はパニック障害になってから、電車に乗れなくなりました。

正確には、「電車に乗ること」そのものではなく、

  • 途中で降りられない
  • 発作が起きたら逃げられない
  • 周囲に迷惑をかけるかもしれない

という恐怖に支配されるようになったのです。

最初は急行電車が苦手になりました。

やがて普通電車でも不安を感じるようになり、ついには駅間5分程度の区間さえ怖くなりました。

今振り返ると、恐れていたのは電車ではありません。

「発作への恐怖」でした。

なぜ電車が怖くなるのか

パニック障害の特徴のひとつに、

「逃げられない状況への恐怖」

があります。

私の場合は、

  • 電車
  • 新幹線
  • 飛行機

が代表的でした。

特に電車は、

「次の駅まで待たなければ降りられない」

という状況が強い不安を生みます。

不安になる

発作を恐れる

体の変化を監視する

さらに不安になる

もっと体に意識が向く

ますます苦しくなる

という悪循環です。

当時の私は、

「どうしたら不安を消せるか」

ばかり考えていました。

しかし後になって分かったのは、

不安を消そうとするほど不安は強くなる

という事実でした。

私がやってしまった回避行動

パニック障害になると、多くの人が回避行動を取ります。

もちろん私も同じでした。

例えば、

  • 急行を避ける
  • 各駅停車を選ぶ
  • 遠回りルートを使う
  • 乗車時間を短くする
  • 駅間時間を調べ続ける

などです。

その瞬間は安心できます。

しかし問題は、その安心が長続きしないことでした。

回避すると、

「やっぱり危険だったから避けたんだ」

と脳が誤学習してしまいます。

結果として、

5分なら大丈夫

やっぱり5分も怖い

3分なら大丈夫

やっぱり3分も怖い

というように恐怖が拡大していきました。

私は実際にここまで悪化しました。

【認知行動療法】パニック再発と回避行動、再び電車に乗れなくなった日々

Contents飛行機を回避してから始まった異変「駅間時間」を調べずにはいられない回避行動が日常を侵食していく20年前の自分に戻ってしまった感覚それでも、もう一度やり直すしかない 飛行機を回避してから ...

続きを見る

認知行動療法との出会い

状況を変えたのは認知行動療法でした。

カウンセリングで最初に行ったのは、

不安階層表の作成

です。

例えば、

状況不安度
各駅停車1駅40
各駅停車3駅50
快速電車60
特急電車80
新幹線90
飛行機100

という形で整理しました。

そして、

一番楽な課題から順番に挑戦する

ことになったのです。

正直、

「こんなことで本当に良くなるのか」

と思いました。

しかし結果的には、この地道な方法こそが回復への道でした。

“乗れない”を小分けにして解決|認知行動療法と不安階層表で人生を取り戻す

これまでの治療は、あくまで「土台作り」でした。 ・抑うつ状態を改善する ・日常生活を安定させる ・発作の頻度を下げる 確かに、それはできていました。 でも—— “乗り物に乗れない”という本質的な問題は ...

続きを見る

【認知行動療法】失敗の原因は“練習不足”でした|10年ぶりにカウンセリングを再開

Contents10年ぶりに認知行動療法のカウンセリングへ「新しい特効薬」を探していた自分これまでのトレーニングは間違っていなかった克服を後退させた“長すぎる間隔”今回の不安階層表もう一度、各駅停車か ...

続きを見る

各駅停車から始めた乗車トレーニング

私のトレーニングは本当に小さな一歩から始まりました。

まずは各駅停車。

それも短い区間です。

乗車中は、

  • 呼吸法
  • 五感法
  • 筋弛緩法
  • ツボ押し

などを使いました。

最初から成功したわけではありません。

ホームで引き返した日もあります。

途中下車した日もあります。

それでも、

「挑戦した」

という事実だけは残りました。

そして少しずつ、

5分

10分

快速電車

特急電車

新幹線

という形でステップアップしていったのです。

【認知行動療法①】各駅停車の次へ|“快速電車”という一段上の壁

前回の記事で書いたとおり、私は認知行動療法による最初のステップとして、各駅停車の電車に乗るトレーニングを開始しました。 結果は、拍子抜けするほどあっさり成功でした。 もちろん、そこに至るまでの長い年月 ...

続きを見る

【認知行動療法②】“新幹線”という象徴|恐怖の名前を越える日

今回のトレーニングメニューは、新幹線こだま号での移動でした。 不安階層表に従い、各駅停車、快速電車と段階的に進めてきました。 新幹線の中では最も駅間時間が短い”こだま”にチャレンジします。 時間だけを ...

続きを見る

予期不安を軽減するための対処法(呼吸法・五感法・筋弛緩法)

Contents乗車前に足が止まる原因思考への集中が不安を増幅させる五感法による注意の分散呼吸法・筋弛緩法の再確認トレーニング方法の見直し今後に向けて 乗車前に足が止まる原因 今日はカウンセリングの日 ...

続きを見る

【認知行動療法】呼吸法を使って普通電車に再挑戦|「駅間5分」からの再出発

Contentsはじめに|再び「普通電車」が怖くなったカウント呼吸法という“土台”駅間5分の反復練習|不安の再発駅間10分への初挑戦|回避非常停止という試練二度目の挑戦で見えた変化「笑顔」が不安を弱め ...

続きを見る

【認知行動療法】ツボ押しも呼吸法と同じくらい効果的でした|「駅間10分」を反復練習

Contentsはじめに|呼吸法だけでは不十分だった「ツボ押し」を導入呼吸法+ツボ押しの組み合わせ呼吸法+ツボ押しの組み合わせ再び非常停止に巻き込まれるツボ押しが思考の暴走を止めた「対処法を複数持つ」 ...

続きを見る

失敗と後退を繰り返しながら学んだこと

回復は一直線ではありませんでした。

実際、私は一度かなり改善しました。

新幹線に乗れるようになり、

飛行機にも乗れるようになりました。

沖縄出張まで達成しました。

ところが、その後再発しました。

再び飛行機を回避し、

電車まで苦手になりました。

当時は絶望しました。

しかし今だから言えることがあります。

それは、

後退したからといって、積み上げた経験が消えるわけではない

ということです。

再挑戦したとき、

過去の経験は確かに役立ちました。

回復に必要な考え方や対処法を知っていたからです。

【認知行動療法】最難関の沖縄出張を達成|飛行機克服の大きな転機

Contentsはじめに羽田空港で感じた緊張感「実況中継」が大きな助けになった機内で実践した“不安から注意をそらす工夫”気づけば“あと30分”着陸遅延すら平気だった復路で起きた“機材トラブル”“完全克 ...

続きを見る

【認知行動療法】飛行機を回避し、再び飛べなくなった日

Contentsはじめに出発前までは“好調”だった“離陸後”に突然襲ってきた強烈な不安“ここから逃げ出したい衝動”との戦い“今”を耐えることで精一杯だった「普通に見える苦しさ」札幌滞在中、“帰り”への ...

続きを見る

認知再構成法のカウンセリングで学んだこと|「考え方」が不安を増幅させていました

Contentsはじめに|行動だけでは限界があった認知行動療法に加わった「認知再構成法」パニック障害では“考え方”が暴走する実際に作成した認知再構成表① 状況・環境② 気分(不安強度を0~100で評価 ...

続きを見る

20年かけてたどり着いた結論

20年以上パニック障害と向き合ってきて、私がたどり着いた結論はシンプルです。

① 回避すると一時的に楽になる

これは事実です。

理想的には回避しないでと言いたいところですが、

現実的にはそうもいきません。

ひとまず、回避の直前まで頑張った自分で褒めてあげましょう。

しかし回避行動は長期的には症状を強めることがあるので、

回避したまま放置せず、気持ちを切り替えて挑戦しましょう。

② 不安をゼロにしてから乗るのは難しい

私はずっと、

「不安が消えたら乗ろう」

と思っていました。

しかし実際には、

乗りもしないで不安が消えるわけもなく、

「不安を抱えたまま乗り、達成感で不安を消す」

ことが回復への近道でした。

③ 成功より継続が大切

一回の成功では終わりません。

逆に一回の失敗で終わりでもありません。

大切なのは、

何度も繰り返すこと

でした。

今、電車に乗れず苦しんでいる方へ

私は、

駅間5分が怖い時期もありました。

ホームから動けなかった日もあります。

新幹線も飛行機も無理でした。

だからこそ伝えたいことがあります。

今乗れないからといって、

ずっと乗れないわけではありません。

私自身、

何度も失敗し、

何度も後退し、

そのたびにやり直してきました。

もし今、

「自分だけがこんな状態なのではないか」

と思っているなら、

そんなことはありません。

私も同じでした。

そして少しずつですが前へ進むことができました。

この記事が、今まさに電車に乗れず苦しんでいる方の希望になれば幸いです。

-体験記