パニック障害で電車に乗れなくなった日
私はパニック障害になってから、電車に乗れなくなりました。
正確には、「電車に乗ること」そのものではなく、
- 途中で降りられない
- 発作が起きたら逃げられない
- 周囲に迷惑をかけるかもしれない
という恐怖に支配されるようになったのです。
最初は急行電車が苦手になりました。
やがて普通電車でも不安を感じるようになり、ついには駅間5分程度の区間さえ怖くなりました。
今振り返ると、恐れていたのは電車ではありません。
「発作への恐怖」でした。
なぜ電車が怖くなるのか
パニック障害の特徴のひとつに、
「逃げられない状況への恐怖」
があります。
私の場合は、
- 電車
- 新幹線
- 飛行機
が代表的でした。
特に電車は、
「次の駅まで待たなければ降りられない」
という状況が強い不安を生みます。
不安になる
↓
発作を恐れる
↓
体の変化を監視する
↓
さらに不安になる
↓
もっと体に意識が向く
↓
ますます苦しくなる
という悪循環です。
当時の私は、
「どうしたら不安を消せるか」
ばかり考えていました。
しかし後になって分かったのは、
不安を消そうとするほど不安は強くなる
という事実でした。
私がやってしまった回避行動
パニック障害になると、多くの人が回避行動を取ります。
もちろん私も同じでした。
例えば、
- 急行を避ける
- 各駅停車を選ぶ
- 遠回りルートを使う
- 乗車時間を短くする
- 駅間時間を調べ続ける
などです。
その瞬間は安心できます。
しかし問題は、その安心が長続きしないことでした。
回避すると、
「やっぱり危険だったから避けたんだ」
と脳が誤学習してしまいます。
結果として、
5分なら大丈夫
↓
やっぱり5分も怖い
↓
3分なら大丈夫
↓
やっぱり3分も怖い
というように恐怖が拡大していきました。
私は実際にここまで悪化しました。
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認知行動療法との出会い
状況を変えたのは認知行動療法でした。
カウンセリングで最初に行ったのは、
不安階層表の作成
です。
例えば、
| 状況 | 不安度 |
| 各駅停車1駅 | 40 |
| 各駅停車3駅 | 50 |
| 快速電車 | 60 |
| 特急電車 | 80 |
| 新幹線 | 90 |
| 飛行機 | 100 |
という形で整理しました。
そして、
一番楽な課題から順番に挑戦する
ことになったのです。
正直、
「こんなことで本当に良くなるのか」
と思いました。
しかし結果的には、この地道な方法こそが回復への道でした。
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各駅停車から始めた乗車トレーニング
私のトレーニングは本当に小さな一歩から始まりました。
まずは各駅停車。
それも短い区間です。
乗車中は、
- 呼吸法
- 五感法
- 筋弛緩法
- ツボ押し
などを使いました。
最初から成功したわけではありません。
ホームで引き返した日もあります。
途中下車した日もあります。
それでも、
「挑戦した」
という事実だけは残りました。
そして少しずつ、
5分
↓
10分
↓
快速電車
↓
特急電車
↓
新幹線
という形でステップアップしていったのです。
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失敗と後退を繰り返しながら学んだこと
回復は一直線ではありませんでした。
実際、私は一度かなり改善しました。
新幹線に乗れるようになり、
飛行機にも乗れるようになりました。
沖縄出張まで達成しました。
ところが、その後再発しました。
再び飛行機を回避し、
電車まで苦手になりました。
当時は絶望しました。
しかし今だから言えることがあります。
それは、
後退したからといって、積み上げた経験が消えるわけではない
ということです。
再挑戦したとき、
過去の経験は確かに役立ちました。
回復に必要な考え方や対処法を知っていたからです。
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20年かけてたどり着いた結論
20年以上パニック障害と向き合ってきて、私がたどり着いた結論はシンプルです。
① 回避すると一時的に楽になる
これは事実です。
理想的には回避しないでと言いたいところですが、
現実的にはそうもいきません。
ひとまず、回避の直前まで頑張った自分で褒めてあげましょう。
しかし回避行動は長期的には症状を強めることがあるので、
回避したまま放置せず、気持ちを切り替えて挑戦しましょう。
② 不安をゼロにしてから乗るのは難しい
私はずっと、
「不安が消えたら乗ろう」
と思っていました。
しかし実際には、
乗りもしないで不安が消えるわけもなく、
「不安を抱えたまま乗り、達成感で不安を消す」
ことが回復への近道でした。
③ 成功より継続が大切
一回の成功では終わりません。
逆に一回の失敗で終わりでもありません。
大切なのは、
何度も繰り返すこと
でした。
今、電車に乗れず苦しんでいる方へ
私は、
駅間5分が怖い時期もありました。
ホームから動けなかった日もあります。
新幹線も飛行機も無理でした。
だからこそ伝えたいことがあります。
今乗れないからといって、
ずっと乗れないわけではありません。
私自身、
何度も失敗し、
何度も後退し、
そのたびにやり直してきました。
もし今、
「自分だけがこんな状態なのではないか」
と思っているなら、
そんなことはありません。
私も同じでした。
そして少しずつですが前へ進むことができました。
この記事が、今まさに電車に乗れず苦しんでいる方の希望になれば幸いです。










