体験記

【認知行動療法】予期不安への対処法を見直す|呼吸法・五感法・筋弛緩法を学んだ体験

2026年5月8日

パニック障害と長く付き合っていると、実際に発作が起きている時間よりも、

「また発作が起きたらどうしよう」

「電車の中で苦しくなったらどうしよう」

と考えている時間の方がつらいことがあります。

私にとって、それが「予期不安」でした。

認知行動療法の一環として電車や新幹線の乗車トレーニングを続けていた私も、実際に乗っている時間だけではなく、乗る前から不安になることが何度もありました。

そこでカウンセリングでは、予期不安が出たときにどう対処するかについて改めて教えてもらいました。

このとき学んだのが、

  • 呼吸法

  • 五感法

  • 筋弛緩法

などです。

この記事では、私がカウンセリングで教えてもらった方法と、それを乗車トレーニングの中でどう使おうと考えたのかを振り返ります。

※この記事は、私自身がパニック障害の治療を受ける中で経験したことを紹介するものです。症状や適切な対処法は人によって異なるため、治療については医師などの専門家に相談してください。

私を苦しめていたのは「乗る前」の不安だった

乗車トレーニングを続ける中で、私は少しずつ電車や新幹線に乗れるようになっていました。

ところが、実際に電車へ乗る前になると、

「途中で降りられなくなったらどうしよう」

「発作が起きたらどうしよう」

「長い時間、逃げられない場所にいるのは大丈夫だろうか」

といった考えが浮かんできます。

まだ何も起きていないのに、頭の中ではすでに「何かが起こるかもしれない」と考えているのです。

そして、そのことを考えれば考えるほど、不安が大きくなっていきました。

私の場合、実際に電車に乗ってしまうと不安が下がることもありました。

それなのに、次のトレーニングになると、また乗る前から不安になる。

この「予期不安とどう付き合うか」が、次の課題になっていました。

カウンセリングで予期不安への対処法を教わった

カウンセリングでは、予期不安が出たときに使える方法をいくつか教えてもらいました。

大切だと感じたのは、

「不安を完全になくしてから行動する」のではない

ということです。

不安があっても、その不安だけに意識を集中させないようにする。

そのための方法として教えてもらったのが、呼吸法、五感法、筋弛緩法でした。

私にとっては、「不安にならない方法」というより、

不安になったときに、自分ができることを増やすための方法

という感覚でした。

呼吸法|呼吸に意識を向ける

一つ目は、これまでの乗車トレーニングでも使ってきた呼吸法です。

不安が強くなると、私は頭の中が、

「大丈夫だろうか」

「降りられない」

「発作が起きるかもしれない」

といった考えでいっぱいになってしまいます。

そこで、呼吸そのものに意識を向けます。

私の場合は、ゆっくり息を吸って、さらに時間をかけて吐くことを意識しました。

呼吸の回数を数えることもありました。

「あと何分耐えなければならない」と考えるのではなく、

「今は呼吸することに集中する」

という使い方です。

実際の乗車トレーニングでも、呼吸法は何度も使いました。

ただし、呼吸法をすれば必ず不安がなくなるわけではありません。

私自身、呼吸法を使っていても不安になることはありました。

それでも、「何もできない」と感じるより、呼吸に意識を戻す方法を持っていることが支えになりました。

五感法|頭の中から「今ここ」へ意識を戻す

次に教えてもらったのが五感を使う方法です。

不安が強くなっているとき、私の意識は「今」ではなく、まだ起きていない未来へ向いていました。

「このあと苦しくなるかもしれない」

「次の駅まで耐えられないかもしれない」

という具合です。

そこで、

  • 何が見えるか

  • 何が聞こえるか

  • 何に触れているか

  • どんな匂いがするか

など、自分の五感で感じているものに意識を向けます。

例えば電車なら、

窓の外を見る。

車内の音を聞く。

座席や手すりに触れている感覚を意識する。

こうして、「これから起こるかもしれないこと」ではなく、今、自分の周囲で実際に起きていることへ注意を戻していきます。

私の場合、不安になると頭の中の世界だけがどんどん大きくなってしまいます。

そのため、五感を使って外側に注意を向けるという考え方は、とても分かりやすいものでした。

筋弛緩法|体に入っている力を抜いてみる

もう一つ教えてもらったのが筋弛緩法です。

不安になっているときは、気づかないうちに体にも力が入っていました。

肩や腕、手などに力を入れたあと、ゆっくり力を抜いていく。

そうすることで、自分の体が緊張していることにも気づきやすくなります。

私の場合、不安になると「頭の中の不安」ばかりに意識が向いていました。

しかし、体に目を向けてみると、かなり力が入っていることがあります。

そこで意識的に力を抜く。

これも、私にとっては不安から注意を切り替える方法の一つになりました。

一つの方法だけに頼らなくてもいい

カウンセリングを受けていて、私が特に印象に残ったのは、

対処法は一つでなくてもいい

ということでした。

呼吸法が使いやすい日もあります。

景色を見る方が気持ちを切り替えやすいこともあります。

体に力が入っていることに気づいたら、筋弛緩法を試すこともできます。

その後のトレーニングでは、ツボ押しなども取り入れるようになりました。

以前の私は、

「この方法で不安を消さなければならない」

という感覚をどこかで持っていたように思います。

しかし、実際にはそうではありませんでした。

呼吸法を使っても不安が残ることはあります。

五感に注意を向けても、再び不安な考えが戻ってくることもあります。

それでも、そのたびに別の方法を試せばいい。

不安をゼロにするためではなく、不安がある状態でも行動を続けるために使う。

私は少しずつ、そう考えるようになりました。

対処法を知るだけではなく、実際に使ってみる

呼吸法、五感法、筋弛緩法。

方法そのものを知るだけなら、それほど難しいものではありません。

しかし私にとって重要だったのは、それを実際の乗車トレーニングで使ってみることでした。

不安のない自宅で練習するのと、本当に不安を感じている電車の中で使うのとでは感覚が違います。

「今日は呼吸法を使えた」

「景色を見ることで少し注意をそらせた」

「今回はうまくできなかった」

そうした経験を重ねていくこと自体が、私のトレーニングになっていきました。

不安をなくすことから「不安があっても進む」へ

認知行動療法を始めた頃の私は、

不安がなくなれば、電車や新幹線に乗れる

と思っていました。

しかし、トレーニングを続けるうちに考え方が少し変わってきました。

不安が完全になくなるのを待っていたら、いつまでたっても次の一歩を踏み出せないことがあります。

それよりも、

「不安はある。でも呼吸法を使ってみよう」

「苦しくなったら、周囲に注意を向けてみよう」

「体に力が入っていたら、一度力を抜いてみよう」

と考える。

私にとって呼吸法や五感法、筋弛緩法は、不安を完全に消すためのものではありませんでした。

不安を抱えたままでも、自分でできることがあると思えるようになるための方法だったのだと思います。

まとめ|予期不安への「選択肢」を増やす

予期不安が強かった頃の私は、

「不安になったらどうしよう」

ということ自体を恐れていました。

しかし、カウンセリングで呼吸法・五感法・筋弛緩法などを教えてもらい、少しずつ考え方が変わりました。

不安になることそのものを防げなくても、

不安になったときにできることはある。

この感覚は、その後の乗車トレーニングでも大きな支えになりました。

そして実際に試していく中で、「自分にはこの方法が使いやすい」「今日はこの方法ではうまくいかない」ということも分かってきました。

認知行動療法のトレーニングを続ける中で私が学んだのは、不安を完全になくしてから前へ進む必要はないということです。

不安があっても、自分なりの対処法を使いながら一歩ずつ進む。

私にとって呼吸法・五感法・筋弛緩法は、そのための選択肢になりました。

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