体験記

【認知行動療法】呼吸法を使って普通電車に再挑戦|「駅間5分」からの再出発

2026年5月19日

はじめに|再び「普通電車」が怖くなった

2020年7月。

再発したパニック障害によって、私は再び「普通電車」に乗ることすら苦しくなっていました。

かつては、新幹線のぞみの長時間無停車区間や、飛行機での沖縄出張まで克服していたにもかかわらず、今は駅間5分ですら恐怖を感じます。

正直、かなり落ち込みました。

しかし、10年前に認知行動療法へ取り組み始めた時も、最初は各駅停車からのスタートでした。

ならば今回も、そこからやり直すしかありません。

カウンセリングで作成した新しい不安階層表に従い、まずは「普通電車(駅間5分)」と「普通電車(駅間10分)」の克服に取り組むことにしました。

カウント呼吸法という“土台”

今回の再トレーニングで中心に据えたのが、「カウント呼吸法」でした。

やり方はシンプルです。

腹式呼吸で、

3秒吸う
7秒吐く

これを指折り数えながら繰り返します。

6回で約1分。

つまり、駅間5分なら30カウントです。

この方法の良いところは、

不安から注意を逸らせる
呼吸が一定になる
「あと何分」という見通しが持てる
という点でした。

特に、パニック障害では「終わりが見えない感覚」が不安を増幅させます。

そのため、「あと○カウント」と具体化できることは、とても大きな安心材料でした。

駅間5分の反復練習|不安の再発

まずは駅間5分の反復練習です。

発車直後、早速不安が再発しました。

心拍数が上がり、「降りたい」という感覚が強くなります。

しかし今回は、そこでカウント呼吸法を開始しました。

3秒吸って、7秒吐く。

それを数える。

すると、徐々に不安が遠のいていく感覚がありました。

もちろん、不安がゼロになったわけではありません。

それでも、「不安が来ても対処できる」という感覚は、久しぶりでした。

この感覚を忘れていました。

駅間10分への初挑戦|回避

次は駅間10分への挑戦です。

しかし、目的区間の2駅ほど手前から予期不安が急上昇しました。

焦り始めます。

すると、呼吸法が乱れました。

本来は一定のリズムで行うはずなのに、

「早く落ち着かなきゃ」

という焦りから、ただの深呼吸になってしまったのです。

結果、気持ちは全く落ち着きませんでした。

一度下車。

ホームで呼吸を整え、再挑戦しようとしました。

しかし、再び電車待ちの列に並んだところで強い不安。

結局、その日は断念しました。

回避です。

帰宅後はかなり落ち込みました。

ただ、冷静に振り返ると、原因も見えていました。

失敗したのは「電車」そのものではなく、焦りによって呼吸法が崩れたこと。

だからこそ、次は修正できるはずだと思いました。

非常停止という試練

再び駅間10分へ挑戦。

ところが、目的区間へ近づいていた時、まさかの駅間非常停止。

電車が止まりました。

これが本当に苦しかったです。

普通の駅間10分なら、

「あと何分耐えれば終わる」

と計算できます。

しかし非常停止は違います。

終わりが見えない。

それが、パニック障害では非常に危険なのです。

私は、

「今日はここまで耐えたのだから、駅間10分はやめて帰ろう」

と、自分に“ご褒美”を与えることにしました。

しかし運転再開後、ふと思ったのです。

「ここで逃げたら、また悪化する」

実際、以前の私は回避によって症状を進行させていました。

だから、怖かったですが下車せずに、駅間10分へ挑戦することにしました。

二度目の挑戦で見えた変化

とはいえ、先ほどの非常停止で呼吸は乱れ、心拍数も上がっていました。

椅子に座り、カウント呼吸法を続けました。

すると、少しずつ呼吸が整い、気持ちが落ち着いてきます。

そしてついに、駅間10分をクリアしました。

正直、達成感は大きかったです。

ただ、それ以上に印象に残ったのは、

「非常停止を乗り切れた」

という経験でした。

首都圏の電車では、非常停止は珍しくありません。

だからこそ、この問題は避けて通れないのです。

今後の課題も見えました。

「笑顔」が不安を弱めた

再び駅間10分の反復練習。

この日は少し熱っぽく、体がだるかったです。

しかし逆に、そのだるさが「下車するより座っていた方が楽」という感覚につながりました。

カウント呼吸法も安定。

そして気づくと、

「降りたい」

と思わなくなっていました。

その瞬間、マスクの下で自然と口角が上がっていました。

笑顔です。

すると、不思議とさらに気持ちが落ち着いたのです。

これは一種の筋弛緩法なのかもしれない。

そう思いました。

体の動きは、感情にも影響する。

だから今後は、

・呼吸法
・筋弛緩法
・口角を上げる

こうした方法も組み合わせていこうと思いました。

反復練習が少しずつ自信を戻していく

駅間5分、駅間10分の反復練習を継続しました。

最初の頃のような強烈な恐怖は減り、

「また乗れるかもしれない」

という感覚が少しずつ戻ってきました。

もちろん、まだ特急も新幹線も飛行機も考えられません。

しかし今は、それで良いと思っています。

以前の私は、「早く元に戻りたい」と焦りすぎていました。

けれど、認知行動療法は階段です。

一段ずつ積み上げるしかありません。

まとめ|小さな成功を積み重ねるしかない

今回の再トレーニングで痛感したのは、パニック障害克服に特効薬は無いということでした。

あるのは、

小さな成功
小さな修正
小さな積み重ね

だけです。

そして、不安をゼロにする必要もありません。

不安があっても、行動できればいい。

それが、認知行動療法の本質なのだと思います。

まずは駅間5分。

次に駅間10分。

今の私は、再びそこからやり直しています。

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