予期不安とは何か
パニック障害で苦しいのは、発作そのものだけではありません。
むしろ私の場合、本当に苦しかったのは発作が起きる前の
「また発作が起きるのではないか」
という予期不安でした。
電車に乗る前。
新幹線の切符を買った後。
飛行機の予約をした日。
時には数週間前から不安が始まることもありました。
実際には何も起きていないのに、
頭の中だけで最悪のシナリオを繰り返してしまうのです。
そして疲れ果てた結果、
「やっぱりやめよう」
と回避行動につながっていました。
私の予期不安はこうして始まった
パニック障害になったばかりの頃は、
予期不安を何とか消そうとしていました。
しかし経験を重ねるうちに分かったことがあります。
それは、
予期不安を消そうとすると、逆に強くなる
ということでした。
「考えないようにしよう」
と思うほど考えてしまう。
「不安になってはいけない」
と思うほど不安になる。
これは多くのパニック障害経験者に共通する感覚ではないでしょうか。
そこで私は、
不安を消すのではなく、
不安との付き合い方を変える方向へ進みました。
対処法① 呼吸法で体から落ち着かせる
最も基本で、最も使った方法です。
私が実践していたのはカウント呼吸法でした。
- 3秒吸う
- 7秒吐く
- 指で回数を数える
これを繰り返します。
呼吸に意識を向けることで、
不安な思考から注意を離せます。
また副交感神経が優位になり、
体の緊張が徐々に緩んでいきました。
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対処法② 五感に意識を向ける
心理士さんから教わった方法です。
不安が強い時ほど、
人は頭の中に閉じこもります。
そこで意識的に外へ注意を向けました。
例えば、
- 景色を見る
- 音楽を聞く
- 飲み物を飲む
- お菓子を食べる
- 香りを嗅ぐ
などです。
考え続けることを止められない時に効果的でした。
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対処法③ ツボ押しで注意を分散する
再発後の認知行動療法で特に役立った方法です。
木製のツボ押しグッズを持ち歩き、
不安が強くなった時に使いました。
ツボ押しの良いところは、
触覚や痛覚に注意が向くことです。
予期不安に集中していた意識を、
身体感覚へ移すことができます。
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対処法④ メモを書く
これは意外なほど効果がありました。
ロマンスカーや飛行機のトレーニングでは、
その場で感じたことをメモしていました。
書き始めると、
感情の渦の中にいる自分を客観視できます。
今で言うジャーナリングに近いかもしれません。
予期不安で頭がいっぱいになった時は、
スマホのメモ帳でも十分です。
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対処法⑤ 「今は考えない」と決める
私が大きく変わったきっかけの一つです。
予期不安は未来を相手にしています。
しかし未来はコントロールできません。
そこで、
「今は考えない」
と意識的に先送りするようになりました。
もちろん完全には消えません。
それでも、
出発1か月前から疲弊することは減りました。
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対処法⑥ 成功体験を思い出す
不安になると、
人は失敗ばかり思い出します。
私もそうでした。
しかし実際に振り返ると、
乗れなかった記憶より、
乗れた記憶の方が多かったのです。
認知行動療法では、
過去の成功体験を根拠として使うことがあります。
「前回も大丈夫だった」
という事実は、
強力な支えになりました。
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対処法⑦ 認知再構成法で考え方を見直す
最終的に大きな助けになったのが認知再構成法でした。
例えば、
以前の考え方
「また再発した。もう一生乗れない」
↓
新しい考え方
「一度克服した実績がある。再び訓練すれば改善する可能性がある」
このように考え方を柔軟にすると、
不安そのものは消えなくても、
苦しさが軽減しました。
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効果があったもの・なかったもの
私の場合、
特に効果が高かったのは、
- 呼吸法
- 五感法
- メモ書き
- 認知再構成法
でした。
逆に効果がなかったのは、
不安を無理に消そうとすることです。
「不安になるな」
「気合で何とかしろ」
これらは長続きしませんでした。
今振り返って思うこと
20年以上パニック障害と向き合ってきて思うのは、
予期不安が来ても慌てないで対処するということです。
予期不安があるから苦しい。
それは事実です。
しかし予期不安があるからといって、
必ず失敗するわけではありません。
実際に私は、
新幹線にも乗りました。
飛行機にも乗りました。
沖縄出張も達成しました。
その時も予期不安はありました。
大切なのは、
予期不安をゼロにすることではなく、予期不安があっても行動できるようになること。
これが、私が20年の経験から学んだ最大の教訓です。









