体験記

【認知行動療法⑬】沖縄出張が決まった|これまでの成功体験を次の一歩につなげるまで

2026年5月13日

各駅停車から始まった、私の認知行動療法。

快速電車、新幹線、そして飛行機。

少しずつ挑戦する対象を広げてきました。

11年ぶりに飛行機に乗り、伊丹から羽田へ。

その後は羽田から札幌へも飛行機で移動しました。

こうして少しずつ経験を積み重ねる中で、以前よりも飛行機に乗ること自体への抵抗感は小さくなっていました。

しかし、私にはまだ大きな課題が残っていました。

それが、

仕事での沖縄出張です。

認知行動療法を始めた頃、心理士さんと一緒に作った「不安階層表」。

その一番上に書かれていたのが、

「飛行機での沖縄出張」

でした。

私にとって、それは長い間「いつか挑戦できるのだろうか」と思っていた課題でした。

そして今回、いよいよその沖縄出張に挑戦することになりました。

沖縄出張は「不安階層表」の最上段だった

認知行動療法を始めた当初、私は心理士さんと一緒に「不安階層表」を作りました。

不安を感じる場面を並べ、比較的取り組みやすいものから少しずつ挑戦していくためのものです。

私の場合は、

各駅停車
↓
快速電車
↓
新幹線
↓
飛行機

というように、少しずつ段階を上げていきました。

そして、その先にあったのが、

「飛行機で沖縄へ出張する」

という課題でした。

当時の私は、これを「不安度100」としていました。

沖縄という場所。

飛行機でしか行けない距離。

途中で自由に降りられないこと。

仕事として長期間滞在すること。

私にとっては、さまざまな不安要素が重なった課題でした。

だからこそ、認知行動療法を始めたばかりの頃は、沖縄出張など現実的には考えられませんでした。

それでも、少しずつ距離を縮めてきた

ところが、トレーニングを続けているうちに状況が変わってきました。

最初は各駅停車ですら不安だった私が、快速電車に乗れるようになりました。

新幹線にも乗れるようになりました。

そして、11年ぶりに飛行機へ。

さらに、羽田から札幌まで飛行機で移動しました。

もちろん、毎回まったく不安がなかったわけではありません。

搭乗前に緊張することもありました。

それでも、実際には一度も「飛行機に乗れなかった」という結果にはなりませんでした。

こうした経験を重ねるうちに、

「もしかすると、沖縄にも行けるのではないか」

と思えるようになってきました。

「不安がなくなってから挑戦する」では間に合わない

沖縄出張の日程は、2018年4月16日から20日でした。

出張が決まると、当然ながらいろいろなことを考えました。

「本当に大丈夫だろうか」

「飛行機の中で困ったらどうしよう」

「沖縄まで行ってしまって大丈夫なのだろうか」

そんな考えが出てきます。

しかし、以前の私とは少し違っていました。

以前なら、

「不安がなくなってから挑戦しよう」

と考えていたと思います。

でも、認知行動療法を続けてきた私は、少しずつ考え方が変わっていました。

不安が完全になくなるのを待っていたら、いつまでも挑戦できない。

だから、

「不安があっても、できることから進んでみる」

と考えるようになりました。

これは、それまでのトレーニングで何度も経験してきたことでもありました。

「飛行機」と考えると怖い。でも……

出張が近づく中で、私は飛行機のことをいろいろ考えていました。

特に気になったのが、機内の閉塞感です。

自由に外へ出ることができない。

ドアが閉まる。

空へ上がっていく。

そう考えると、以前の記憶がよみがえってきます。

そこで私は、少し考え方を変えてみました。

飛行機に乗ると思うと怖い。

では、

「2時間半、座っている」

と考えたらどうだろう。

飛行機という特別なものとして捉えるのではなく、

「2時間半の移動時間を座って過ごす」

と考えてみる。

実際には同じことなのですが、私の中では受け止め方が違いました。

こうした「考え方の切り替え」が、私にとっては一つの対処方法になりました。

「もし無理だったら」と考えることもできるようになった

さらに、この頃にはもう一つ大きな変化がありました。

私は、

「もし今回どうしても無理だったら、そのときは職場に相談すればいい」

と考えられるようになっていました。

以前の私は、

「絶対に成功しなければならない」

と自分を追い込んでいました。

失敗したら終わり。

できなければいけない。

そんなふうに考えていたのです。

しかし、

「もし無理だったら、そのときは別の方法を考えればいい」

と考えることで、少し気持ちが楽になりました。

これは「最初から諦める」ということではありません。

むしろ、

「失敗しても人生が終わるわけではない」

と自分に許可を与えることで、目の前の挑戦に集中しやすくなったのだと思います。

4月4日――理由の分からない不安

出張が近づくにつれて、理由のはっきりしない不安を感じる日もありました。

突然、落ち着かなくなる。

沖縄という言葉を思い出すだけで緊張する。

「何が怖いのか」と聞かれても、自分でもうまく説明できない。

そんな状態になることもありました。

これまでのトレーニングを経験してきた私でも、こうしたことはありました。

だからといって、

「ここまでやってきたのに、また元に戻ってしまった」

とは考えませんでした。

不安が出ること自体は、これまでにも何度も経験しています。

むしろ、

「こういう日もある」

と捉えることができるようになっていました。

妻の一言で気づいたこと

そんなある日、妻に沖縄出張への不安を話しました。

すると妻が、

「これまでの飛行機トレーニングの成功体験、ちゃんと活きてる?」

と言いました。

この言葉には、ハッとさせられました。

私はそれまで、

「沖縄まで行く」

「飛行機に2時間半乗る」

「仕事で長期間滞在する」

といった、これから起こることばかり考えていました。

しかし、過去にはすでに、

伊丹―羽田

羽田―札幌

という飛行機トレーニングを経験しています。

そして、そのどちらも、

実際に飛行機に乗って目的地まで到着している。

この事実を、私はすっかり忘れていたのです。

「まだ起きていない未来」ばかり見ていた

妻の言葉をきっかけに、私はこれまでの経験を振り返りました。

搭乗前には不安になった。

でも、乗った。

そして目的地に着いた。

これを何度も経験しています。

それなのに私は、

「次はどうなるか分からない」

という未来のことばかり考えていました。

一方で、

「これまで実際にどうだったのか」

という過去の事実を十分に見ていませんでした。

そこで、意識的に過去の成功体験を思い出すことにしました。

「乗る前は不安になることがある」

でも、

「乗ってしまえば何とかなる」

これは、私自身が何度も経験してきたことです。

成功体験は「次の挑戦」のために使える

これまでのトレーニングでは、一回一回の成功を大切にしてきました。

しかし、成功した直後は喜んでも、時間が経つと、その経験を忘れてしまうことがあります。

そして、次の挑戦になると、

「今度はどうだろう」

と、またゼロから不安になってしまう。

沖縄出張を前にして、私はそのことに気づきました。

そこで、

「過去にできたことは、次の挑戦の材料になる」

と考えるようにしました。

伊丹―羽田に乗れた。

羽田―札幌にも乗れた。

ならば、今回もまずやってみよう。

そう考えると、沖縄出張が少しだけ現実的なものに感じられました。

出発前に「考えすぎない」こともトレーニングだった

出張までの期間、私は何度も沖縄のことを考えました。

それでも以前とは違って、

「今考えても仕方がない」

と思える場面が増えていました。

まだ起きていないことを何時間も考えても、答えは出ません。

だから、

「必要な準備はしておく」

「それ以上は当日の自分に任せる」

という考え方をするようになりました。

これは、私にとってかなり大きな変化でした。

以前は、未来の出来事を頭の中で何度もシミュレーションすることで安心しようとしていました。

しかし、シミュレーションすればするほど、別の不安が出てきます。

そこで、

「今できる準備をしたら、あとはそのとき考える」

と区切るようにしました。

出発前に疲れ切らなかった

今回の沖縄出張で、私自身が一番大きな前進だと感じたのは、

出発前に疲れ切らなかったこと

でした。

もちろん、不安はありました。

沖縄という言葉を思い出して緊張することもありました。

それでも、以前のように一日中そのことばかり考えているわけではありませんでした。

「今考えても意味がない」

「当日の自分に任せよう」

と考えられる時間が増えていました。

これは、これまでのトレーニングとは少し違う種類の変化でした。

「不安をなくす」だけではなく、「不安について考え続けない」ことができるようになっていたのです。

ここまで来るまでに時間がかかった

今振り返ると、沖縄出張だけを見れば、

「飛行機で沖縄へ行った」

という一つの出来事です。

しかし、そこに至るまでには長い時間がかかりました。

各駅停車

快速

新幹線

快速急行

快速特急

新幹線ひかり

新幹線のぞみ

そして、

伊丹―羽田

羽田―札幌

一つ一つは小さな挑戦でした。

でも、その小さな経験が積み重なって、

「沖縄出張」という、それまで考えられなかった挑戦が現実的なものになった。

これは私自身にとって、とても大きなことでした。

「不安があるからやめる」から「不安があっても進む」へ

認知行動療法を始めた頃の私は、

「不安になること=やってはいけないこと」

のように考えていました。

不安になったら避ける。

怖くなったらやめる。

そうすることで、その場では安心できます。

しかし、その繰り返しでは、行動できる範囲がなかなか広がりません。

トレーニングを続ける中で、少しずつ、

「不安があっても、今できることはある」

と考えられるようになりました。

今回の沖縄出張も、その延長線上にあります。

いよいよ沖縄へ

こうして、出発の日が近づいてきました。

もちろん、まだ不安はあります。

それでも、以前とは違います。

飛行機そのものへの挑戦だけではありません。

これまで積み重ねてきた経験を、自分で思い出せるようになった。

不安が出ても、

「今は考えなくていい」

と区切れるようになった。

そして、

「不安があっても、前へ進める」

という感覚を少しずつ持てるようになった。

認知行動療法を始めた頃には想像もできなかった、

「飛行機で沖縄へ出張する」

という一歩が、いよいよ目の前まで来ました。

次回は、いよいよ沖縄出張当日のことを書きたいと思います。

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