Contents
- はじめに|退職金運用を考える中で気付いた「税金の壁」
- 同じ分配金でも手取りは全然違うのでは?
- 私が比較していたETFを簡単に紹介
- JEPI
- JEPQ
- SPYI
- QQQI
- SPHY
- JPST
- 日本人が米国ETFで払う税金
- ROCとは?
- ROCを超わかりやすく説明すると
- ROCはタコ足配当なの?
- QQQIとSPYIが人気の理由
- QIIとは?
- SPHYやJPSTでQIIが重要な理由
- ROCとQIIの違いを図解
- 私がポートフォリオを見直した理由
- 私は利回りばかり見ていた
- 退職後に使うのは「評価額」ではなく「現金」
- 「利回り」より「税引後キャッシュフロー」
- 私がQQQI・SPYIに興味を持った本当の理由
- 注意点|ROCもQIIも万能ではない
- まとめ|私が学んだ最大のこと
はじめに|退職金運用を考える中で気付いた「税金の壁」
前回の記事では、
退職金運用の目的を
元本毀損しない範囲でキャッシュフローを最大化する
と定め、
以下のポートフォリオを検討しました。
| 資産クラス | 銘柄 | 比率 | 特性 |
| カバードコールETF | JEPQ | 30% | グロース、ELN比率積極的、下落耐性JEPIより弱い、利回り9~11% |
| カバードコールETF | JEPI | 30% | バリュー、ELN比率控えめ、下落耐性SPHYより弱い、利回り6~10% |
| 米国ハイイールド債ETF | SPHY | 30% | 下落耐性JEPIより高い、利回り7%前後、QII制度による還付金 |
| 米国超短期債ETF | JPST | 10% | 下落時も元本安定、利回り4~5%、QII制度による還付金、他資産クラスとのリバランス資金 |
-

退職金運用のポートフォリオ|元本毀損しない範囲でキャッシュフローを最大化
Contents退職金運用を考えた理由退職金運用の目的退職金運用ポートフォリオに組み入れる銘柄選定カバードコールETF(JEPQ・JEPI)をコアに選定ハイイールド債(SPHY)をコアに追加米国短期債 ...
続きを見る
当時は、
「これでかなり完成形に近いのではないか」
と思っていました。
しかし、その後も調べ続けるうちに、ある疑問が浮かびました。
同じ分配金でも手取りは全然違うのでは?
例えば、
年間300万円の分配金を受け取るとします。
私が当初見ていたのは、
- 利回り10%
- 利回り12%
という数字でした。
しかし実際に生活費として使えるのは、
税金を引かれた後のお金です。
つまり本当に重要なのは、
税引前利回りではなく税引後キャッシュフロー
だったのです。
私が比較していたETFを簡単に紹介
ROCやQIIの話をする前に、
まず今回登場するETFを整理します。
| ETF | 運用会社 | 対象指数 | 利回り目安 | 特徴 |
| JEPI | JPMorgan | S&P500 | 7~9% | 低ボラティリティ |
| JEPQ | JPMorgan | NASDAQ100 | 10~12% | 成長性重視 |
| SPYI | NEOS | S&P500 | 10~12% | ROC活用 |
| QQQI | NEOS | NASDAQ100 | 12~15% | ROC活用 |
JEPI
JEPIは現在最も有名なカバードコールETFの一つです。
ベースとなるのはS&P500ですが、
単純に指数を保有するのではなく、
値動きの比較的穏やかな大型株を選別しています。
そのため、
- 分配金を受け取りたい
- 値動きを抑えたい
という退職世代には人気があります。
JEPIのメリット
- 実績が長い
- 純資産規模が大きい
- 比較的安定した分配
JEPIのデメリット
- 強い上昇相場では取り残されやすい
- ROCメリットがほぼない
JEPQ
JEPQはNASDAQ100版のJEPIです。
対象がハイテク株中心のため、
JEPIより成長性があります。
私も最初はJEPQを第一候補として考えていました。
JEPQのメリット
- 高い分配利回り
- NASDAQ100の成長性
- 人気が高い
JEPQのデメリット
- ハイテク株中心で値動きが大きい
- ROCメリットがほぼない
SPYI
SPYIはNEOS社が運用するS&P500連動型のカバードコールETFです。
私が興味を持った最大の理由は、
ROC(Return of Capital)
を活用している点でした。
SPYIのメリット
- 高利回り
- 毎月分配
- ROCによる税効率
SPYIのデメリット
- JEPIより運用実績が短い
- ROC比率が毎年変動する
QQQI
QQQIはNASDAQ100版のSPYIです。
私が最終的に最も注目したETFでもあります。
QQQIのメリット
- 高い分配利回り
- NASDAQ100の成長性
- ROC活用による税効率
QQQIのデメリット
- 運用実績が短い
- 市場急落時は値動きが大きい
SPHY
SPDR Portfolio High Yield Bond ETF (SPHY)
高利回り社債に投資します。
私は、
上記カバードコールETFの分配金が減少する局面を補う目的で選定しました。
JPST
JPMorgan Ultra-Short Income ETF (JPST)
暴落時のクッション役です。
また、
QIIの恩恵を受けやすいETFとしても知られています。
日本人が米国ETFで払う税金
まずは基本です。
米国ETFの分配金には、
通常次の税金がかかります。
分配金100万円
↓(米国課税10%)
90万円
↓(日本課税20.315%)
約72万円
つまり、
100万円の分配金でも約28万円が税金
です。
退職後20年間なら、
累計数百万円の差になります。
ROCとは?
ここからが本題です。
ROCとは
Return of Capital
の略です。
日本語では
資本の払い戻し
と訳されます。
ROCを超わかりやすく説明すると
通常の分配金
会社が儲ける
↓
利益を配当
↓
課税
ROC
税務上は元本返還扱い
↓
分配時は課税されない
↓
売却時に精算
です。
ROCはタコ足配当なの?
ネットではよく
ROC=タコ足配当
と言われます。
しかしこれは半分正解で半分誤解です。
本当に危険なROC
利益なし
↓
元本取り崩し
↓
分配金支払い
これは危険です。
QQQIやSPYIのROC
オプション収益
↓
税務上ROC処理
↓
課税繰延べ
こちらは全く意味が違います。
QQQIとSPYIが人気の理由
同じ10%の分配金でも、
税金のタイミングが違うのです。
つまり
JEPQ 受け取るたび課税
QQQI 課税繰延べ部分あり
という違いがあります。
QIIとは?
次に私が知ったのがQIIです。
正式名称は
Qualified Interest Income
です。
QIIを超簡単に説明すると
通常
米国ETF
↓
米国課税10%
ですが、
QII部分は
米国課税ゼロ
になる可能性があります。
SPHYやJPSTでQIIが重要な理由
例えば
年間50万円の分配金。
通常なら
50万円
↓
米国税5万円
です。
しかしQII対象なら
50万円
↓
米国税0円
になる場合があります。
ROCとQIIの違いを図解
| 項目 | ROC | QII |
| 代表ETF | QQQI・SPYI | SPHY・JPST |
| 効果 | 課税繰延べ | 米国税軽減 |
| 対象 | カバードコール収益 | 利息収入 |
| 目的 | 手取り向上 | 手取り向上 |
私がポートフォリオを見直した理由
前回の記事では、
退職金運用ポートフォリオとして
- JEPQ
- JEPI
- SPHY
- JPST
を選定しました。
当時の私は、
「元本毀損しない範囲でキャッシュフローを最大化する」
という目的に照らして、
かなり合理的な選択ができたと考えていました。
特にJEPQとJEPIは、
NASDAQ100やS&P500に投資しながら毎月分配金を受け取れるため、
退職後の生活費を補う資産として非常に魅力的に見えました。
しかしその後も、
「本当にこの組み合わせが最適なのだろうか」
という視点で調査を続けました。
すると、
QQQIやSPYIというETFの存在を知りました。
最初は、
「JEPQやJEPIの類似商品だろう」
程度に考えていました。
ところが詳しく調べてみると、
単なる類似商品ではなく、
ROCという仕組みを活用することで税引後の手取りを高める設計になっていることが分かりました。
ここで私は、
あることに気付きました。
私は利回りばかり見ていた
退職金運用を考え始めた頃、
私が注目していたのは
- 分配金利回り
- 毎月分配かどうか
- 元本維持できそうか
という点でした。
例えば、
JEPQの利回りが10%、
QQQIの利回りが11%だった場合、
単純に
「QQQIの方が少し高利回りだな」
という見方をしていました。
しかし実際に生活費として使える金額を考えた時、
本当に重要なのは利回りそのものではありません。
重要なのは、
税金を払った後に手元にいくら残るか
だったのです。
退職後に使うのは「評価額」ではなく「現金」
現役世代であれば、
多少分配金が少なくても、
給与収入で補うことができます。
しかし退職後は違います。
私が退職金運用に求めているのは、
資産額ランキングで上位に入ることではありません。
毎月の生活費を安定して生み出してくれることです。
極端な話をすると、
資産評価額が同じ3,000万円でも、
毎年受け取れる手取り額が
200万円なのか
250万円なのかで、
老後の生活は大きく変わります。
つまり私にとって重要なのは、
資産額よりもキャッシュフローなのです。
「利回り」より「税引後キャッシュフロー」
そこで私は、
ETFを比較する際の基準を変えることにしました。
以前は、
利回り
↓
分配金
で比較していました。
しかし現在は、
利回り
↓
分配金
↓
税金
↓
税引後キャッシュフロー
まで含めて比較しています。
この視点で見ると、
ROCを活用するQQQIやSPYI、
QIIの恩恵を受けやすいSPHYやJPSTが、
これまでとは違って見えてきたのです。
私がQQQI・SPYIに興味を持った本当の理由
誤解しないでいただきたいのは、
私は
「QQQIやSPYIの方が必ず優れている」
と言いたいわけではありません。
JEPQやJEPIには、
- 運用実績が長い
- 純資産総額が大きい
- 安心感がある
という大きな魅力があります。
一方で、
QQQIやSPYIには、
- ROCによる課税繰延べ
- 高い分配利回り
- 税引後キャッシュフロー向上の可能性
という魅力があります。
私がQQQI・SPYIに興味を持った理由は、
利回りが高いからではありません。
退職後20年以上にわたり分配金を受け取り続けることを考えた時、
「税金まで含めて考えると、本当に有利なのはどちらなのだろうか」
という疑問を持ったからです。
そしてその疑問を追いかけていく中で、
ROCやQIIという制度にたどり着いたのです。
注意点|ROCもQIIも万能ではない
ROC比率は毎年変わる
今年80%でも来年50%かもしれません。
QII比率も毎年変わる
債券市場環境によります。
税制変更リスク
制度は将来変わる可能性があります。
まとめ|私が学んだ最大のこと
退職金運用を考え始めた頃、
私は利回りばかり見ていました。
しかし今は、
税引後キャッシュフロー
こそ重要だと考えています。
そのきっかけになったのが、
- ROC
- QII
でした。
もし私と同じように
- QQQIとJEPQ
- SPYIとJEPI
- SPHYとVWOB
- JPSTとBNDX
を比較しているなら、
利回りだけでなく
「税金を引いた後にいくら残るか」
という視点でも見てみることをおすすめします。

