体験記

【認知行動療法⑳】ツボ押しを新たな対処法に|「駅間10分」の反復練習で分かったこと

2026年5月20日

前回の記事では、再び普通電車に乗るためのトレーニングで、カウント呼吸法を使った経験を書きました。

駅間5分から始め、駅間10分へ。

一度は回避してしまったものの、再挑戦することで駅間10分を乗り切ることができました。

ところが、その経験から私は一つの課題も感じていました。

呼吸法だけでは、想定外の出来事が起きたときに対応しきれないことがある。

実際、電車が駅間で突然停止したとき、私は焦って呼吸が乱れてしまいました。

そこで今回は、以前カウンセリングで教えてもらった「五感法」をヒントに、ツボ押しを新しい対処法として試してみることにしました。

呼吸法だけに頼らない方法を試してみる

これまでの私は、不安を感じると、

「まず呼吸を整えよう」

と考えていました。

呼吸に意識を向けることで、落ち着きを取り戻せることがあったからです。

しかし、駅間で電車が突然止まったときには、状況が違いました。

「いつ動くのだろう」

「あと何分待つのだろう」

そんな考えが頭の中を占領すると、呼吸そのものに集中することが難しくなります。

そこで、

「呼吸以外にも、意識を向ける先があればいいのではないか」

と考えました。

そこで思い出したのが、カウンセリングで教えてもらった「五感法」です。

五感に意識を向けるという考え方

以前のカウンセリングでは、不安が強くなったときに五感を使って意識を外側へ向ける方法を教えてもらいました。

  • 視覚

  • 聴覚

  • 嗅覚

  • 味覚

  • 触覚

です。

私の場合、これまでも車窓を見る、音楽を聴くといった方法は使っていました。

そこで今回は、

「触覚を使ってみよう」

と考えました。

そのために使ったのが、木製のツボ押しグッズでした。

ツボ押しを電車の中で使ってみた

駅間10分の区間に入ると、私はツボ押しグッズで手を刺激しながら、車窓の風景を眺めていました。

そして、呼吸も意識します。

つまり、

呼吸法+ツボ押し+車窓を見る

という組み合わせです。

すると、以前よりも電車の中で落ち着いて過ごせていることに気づきました。

もちろん、不安が完全になくなったわけではありません。

ただ、

「あと何分だろう」

「降りたくなったらどうしよう」

という考えだけに意識が集中することが少なくなりました。

手にはツボ押しの感覚があります。

目には車窓の景色があります。

耳には電車の音があります。

そして呼吸をしています。

いくつかの感覚に意識が分散されていたのです。

「呼吸法だけでなくてもいい」と気づいた

この経験で、私は初めて、

「呼吸法だけに頼らなくてもいい」

と思いました。

これまでの私は、

「不安になったら呼吸法」

という一つの方法にかなり頼っていました。

もちろん、呼吸法が私にとって役立つことは変わりません。

でも、

「呼吸法がうまくできないときはどうする?」

という問題があります。

そのときに別の方法があれば、少し安心できます。

私にとってツボ押しは、そのための新しい「引き出し」になりました。

駅間10分の反復練習を続ける

その後も、駅間10分の反復練習を続けました。

目的の区間に入る2駅ほど前から、

  • 呼吸法

  • ツボ押し

を始めます。

以前なら、駅間10分が近づくと、

「もうすぐ始まる」

と考えるだけで緊張していました。

しかし、ツボ押しをしながら呼吸を整えていると、意識が一つのことに集中しすぎなくなりました。

そして、この日は終始比較的落ち着いた状態で、駅間10分を乗り切ることができました。

ところが、また非常停止が起きた

「これなら大丈夫そうだ」

そう思った矢先、また想定外の出来事が起こりました。

電車が駅間で停止したのです。

以前も経験した非常停止です。

私にとって、一番難しいのは、

「いつ動くのか分からない」

ことでした。

通常の駅間10分なら、

「あと5分」

「あと3分」

と終わりを予測できます。

ところが、非常停止ではそれができません。

時間の見通しがなくなると、どうしても不安が強くなります。

音楽を聴いても落ち着かなかった

私は目を閉じて、音楽を聴くことにしました。

外の情報を減らして、音楽に意識を向けようとしたのです。

ところが、一曲終わっても電車は動きません。

次の曲を探しているうちに、

「まだ動かない」

ということが気になり始めました。

そして、再び不安が大きくなってきました。

以前の私なら、このまま不安に飲み込まれていたかもしれません。

しかし、そのとき思い出したのがツボ押しでした。

ツボ押しに意識を向ける

私は木製のツボ押しグッズを手に取りました。

手を刺激すると、

  • 手の感覚

  • 圧迫される感覚

  • 少し痛い感覚

などが意識に入ってきます。

すると、頭の中で「いつ動くのだろう」と考え続けていた状態から、少し意識が外れました。

そして周囲を見る余裕も戻ってきました。

同じ車両に乗っている人たちは、特別慌てている様子もありません。

みんな普通に電車が動くのを待っています。

その光景を見て、

「自分だけがこの状況に置かれているわけではない」

と思うことができました。

やがて、電車は動き始めました。

停止していた時間は、おそらく8分程度だったと思います。

「想定外でも対応できた」という経験

今回の経験で、私にとって大きかったのは、

「非常停止が起きても、何とか対応できた」

ということでした。

駅間10分を普通に走るだけなら、前回も経験しています。

今回は、それに加えて、

「予定どおりに進まない」

という条件が加わりました。

それでも、ツボ押しや音楽、車窓を見ることなどを使いながら、電車が動くのを待つことができました。

もちろん、毎回同じように対応できるとは限りません。

その日の体調や状況によって、感じ方も変わります。

それでも、

「こういう方法も使える」

と分かったことには意味がありました。

対処法を一つに絞らなくていい

今回の経験から、私は不安への対処法について考え方が変わりました。

以前は、

「これさえできれば大丈夫」

という方法を探していました。

私の場合、それが呼吸法でした。

しかし、実際にはそう単純ではありません。

呼吸法がうまくできる日もあれば、うまくできない日もあります。

そこで、

  • 呼吸法

  • ツボ押し

  • 車窓を見る

  • 音楽を聴く

  • 周囲の状況を見る

など、いくつかの方法を持っておく。

そうすると、一つの方法がうまくいかなくても、別の方法に切り替えることができます。

私にとっては、

「対処法の引き出しを増やす」

という感覚でした。

「不安を消す」から「不安に集中しすぎない」へ

認知行動療法を再開したばかりの頃の私は、

「不安をなくしたい」

と考えていました。

不安が出てくる

↓

不安を消そうとする

↓

うまく消えない

↓

「やっぱりダメだ」と焦る

そんなことを繰り返していました。

しかし、少しずつ考え方が変わってきました。

不安が出てもいい。

その不安だけに意識を集中し続けなければいい。

呼吸をする

ツボを押す

景色を見る

音楽を聴く

周囲を見る

そうやって、

「不安」から「自分の五感」に意識を戻していく。

私にとっては、そのほうが現実的でした。

おわりに|少しずつ「引き出し」が増えてきた

今回のトレーニングでは、駅間10分を繰り返し練習しました。

そして、その途中で再び非常停止にも遭遇しました。

それでも、

「呼吸法がうまくいかなければ、別の方法を使えばいい」

と考えられるようになりました。

ツボ押しは、私にとって特別な方法だったわけではありません。

ただ、これまで呼吸法に集中しすぎていた私に、

「対処法は一つでなくてもいい」

と気づかせてくれた方法でした。

認知行動療法を再開してから、私は少しずつ「不安への向き合い方」を変えています。

不安を完全になくそうとするのではなく、

不安があっても、自分で使える方法をいくつか持っておく。

そのほうが、私には合っているようでした。

そして、まだ私の再トレーニングは続きます。

次は、駅間10分をさらに安定させながら、その先のステップへ進んでいきます。

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