私は20年以上、心療内科に通院しています。
パニック発作と予期不安をきっかけに治療を始め、その後、長い服薬生活を送ってきました。
その中で、長年服用してきた薬の一つがメイラックスです。
そんな私に、ある日の診察で主治医から、
「状態も安定していますし、メイラックスを少し減らしてみましょうか」
と提案されました。
正直、少し怖さがありました。
長い間飲んできた薬です。
「減らして大丈夫なのだろうか」
「また不安が強くなったらどうしよう」
そんな気持ちがありました。
それでも、主治医と相談したうえで、減薬を始めることにしました。
この記事では、長期間メイラックスを服用してきた私が、実際に減薬を始めた経緯と、そのときに感じたことを書きます。
※この記事は、私自身の減薬の体験を記録したものです。減薬の方法や服用量を勧めるものではありません。薬の減量・中止は自己判断で行わず、主治医や薬剤師にご相談ください。
私がメイラックスを飲み始めた理由
私が心療内科を受診した最初のきっかけは、パニック発作でした。
当時は、
電車に乗ることが怖い
飛行機に乗れない
いつ発作が起きるか分からない
発作が起きるのではないかと常に考えてしまう
といった状態でした。
特に困っていたのが、実際に発作が起きていない時間にも、
「また発作が起きるのではないか」
と考えてしまうことでした。
いわゆる予期不安です。
そのため、治療の中で抗不安薬が処方され、私はメイラックスを長期間服用することになりました。
15年以上、メイラックスを服用してきた
メイラックスを服用した期間は、15年以上になります。
これだけ長く飲んでいると、薬を飲むこと自体が生活の一部になります。
朝起きる。
仕事へ行く。
食事をする。
そして薬を飲む。
特別なことではありません。
だからこそ、
「これを減らして大丈夫なのだろうか」
という気持ちがありました。
薬が自分を支えてくれているような感覚もありました。
以前は頓服薬も使っていた
以前は、メイラックスだけではなく、頓服としてワイパックスも処方されていました。
不安が強くなったときに使うためです。
当時の私は、
「不安になったら薬を飲む」
という対応をかなり頼りにしていました。
ところが、長い時間をかけて少しずつ変化していきました。
認知行動療法に取り組み、
認知再構成法を学び、
呼吸法や筋弛緩法を使い、
さらにツボ押しなども試してきました。
すると、
「不安になったら薬を飲む」
だけではなく、
「不安になったとき、自分で対処する」
という選択肢が増えていきました。
いつの間にか、頓服をほとんど使わなくなっていた
今でも頓服薬は手元にあります。
ただ、以前のように頻繁に使うことはありません。
不安が出てきても、
「まず呼吸を整えてみよう」
「今、自分は何を考えているのだろう」
「少し様子を見てみよう」
と考えられる場面が増えました。
薬がなくても、ある程度は自分で対処できる。
そう感じられるようになったことは、私にとって大きな変化でした。
主治医から「少し減らしてみましょう」と言われた
そんなある日の診察で、主治医から、
「状態も安定していますし、メイラックスを少し減らしてみましょうか」
と提案されました。
私は、
「はい」
と答えました。
しかし、診察室を出てから、
「本当に大丈夫かな?」
という気持ちが出てきました。
長年飲んできた薬です。
減らしたことで、以前のような予期不安が戻ってきたらどうしよう。
パニック発作が再び起きたらどうしよう。
そんな考えが頭に浮かびました。
薬が減ることに対する不安
これまで長い間、
「この薬を飲んでいるから大丈夫」
と思っていた部分がありました。
それが少し減る。
すると、
「今までと同じように過ごせるだろうか」
と考えてしまいます。
これは、認知行動療法で経験したこととも少し似ていました。
まだ何も起きていないのに、
「もし不安が強くなったらどうしよう」
と先のことを考えてしまうのです。
「いきなり全部やめるわけではない」と考えた
そこで私は、以前の認知行動療法を思い出しました。
電車のトレーニングでも、いきなり飛行機には乗りませんでした。
各駅停車
快速電車
新幹線
飛行機
一段ずつ進みました。
今回の減薬も、それと少し似ていると感じました。
もちろん、薬の減量と認知行動療法のトレーニングは同じものではありません。
ただ、
「いきなりゼロにするのではなく、主治医と相談しながら少しずつ進める」
という点では、私自身の感覚として似ているところがありました。
私の場合、2mgから1.5mgへ
今回、主治医から提案されたのは、
2mgから1.5mgへ減らす
というものでした。
これは、あくまで私自身の治療で主治医から指示された内容です。
私はその方法について医師に確認したうえで減薬を始めました。
メイラックスには1mg錠と2mg錠があります。PMDAの患者向けガイドでも、自己判断で量を加減したり中止したりせず、指示どおり服用することが案内されています。
そのため、この記事を読んで、
「自分も同じ量に減らしてみよう」
とは考えないでください。
減薬のペースや方法は、服用期間や薬の種類、症状などによっても異なるため、主治医と相談しながら進めるものだと私は考えています。
減薬初日は、かなり意識した
実際に減薬を始めた初日は、薬の量そのものより、
「今日はいつもより薬が少ない」
ということを意識していました。
「大丈夫だろうか」
「不安が強くならないだろうか」
そんなことを考えていました。
仕事をしていても、
「今のところ大丈夫」
と自分の状態を確認してしまいます。
夜になれば、
「今日一日、大丈夫だった」
と少し安心しました。
今振り返ると、かなり薬のことを意識していたと思います。
ところが、日常生活はほとんど変わらなかった
そんなふうに心配していたのですが、実際には、
日常生活はほとんど変わりませんでした。
仕事も普段どおり。
睡眠も普段どおり。
日常の不安も、特に増えたとは感じませんでした。
もちろん、これは減薬を始めた直後の私自身の感想です。
今後どうなるかは分かりません。
だから、
「減薬しても大丈夫だった」
と一般化するつもりはありません。
ただ、
「薬を少し減らしたら、すぐに以前の状態に戻る」と決まっているわけではない
ということを、私は自分の経験として感じました。
「減薬=すぐ不調」ではなかった
減薬を始める前の私は、
「薬が減る」
↓
「不安が強くなる」
↓
「またパニック発作が起きる」
という流れを想像していました。
でも、実際にはそうなりませんでした。
少なくとも今回の減薬開始では、日常生活に大きな変化はありませんでした。
この経験によって、
「まだ起きていないことを心配しすぎていたのかもしれない」
と気づきました。
これは、今回の減薬で感じた一番大きなことの一つです。
ただし、「何も起きない」とは考えない
一方で、ここは自分自身にも言い聞かせています。
今回問題がなかったからといって、
「減薬は簡単」
「長期間飲んでいてもすぐやめられる」
という話ではありません。
メイラックスはベンゾジアゼピン系の抗不安薬で、PMDAは長期使用について治療上の必要性を検討すること、また急激な減量や中止によって離脱症状や原疾患の悪化が起こる可能性があることを注意喚起しています。
だから私は、
「今回、問題がなかったから、次も自己判断で減らしていい」
とは考えていません。
今後も主治医と相談しながら進めていくつもりです。
私にとって減薬は「薬をやめること」ではない
今回、減薬を始めることになって、改めて考えたことがあります。
私にとって、減薬の目的は、
「薬をゼロにすること」ではありません。
必要な薬なら、これからも飲みます。
無理に薬をやめるつもりもありません。
私が考えているのは、
「必要な治療を受けながら、できるだけ自分らしい生活を続ける」
ということです。
その中で、主治医が、
「少し減らしてみてもよさそう」
と判断したのであれば、試してみる。
それくらいの気持ちです。
20年以上の服薬生活を振り返って
パニック発作をきっかけに心療内科へ通い始めてから、20年以上になります。
その間、薬には何度も助けてもらいました。
だから私は、
「薬に頼ってしまった」
とは考えていません。
必要な時期に薬を使ったからこそ、治療を続けることができたと思っています。
そして今は、認知行動療法などを通じて、
「薬だけに頼らず、自分でも不安に対処する」
という方法も身につけてきました。
その結果として、今回、主治医と減薬について相談できるところまで来た。
私はそう捉えています。
減薬を始めて分かったこと
今回の経験から、私が感じたことをまとめると、次の3つです。
① 減薬前に「薬が減ること」への不安があった
実際の体調変化より先に、
「大丈夫だろうか」
という心理的な不安がありました。
② 私の場合、減薬開始直後の日常生活はほとんど変わらなかった
仕事、睡眠、日常生活については、大きな変化を感じませんでした。
ただし、これはあくまで減薬を始めた時点での私自身の経験です。
③ 「薬をやめること」が目的ではない
私にとって減薬は、
必要な治療を続けながら、主治医と相談して薬の量を調整していくこと
です。
断薬ありきではありません。
おわりに|長年の服薬生活から、一歩ずつ変えていく
15年以上服用してきたメイラックス。
そんな長期間飲んできた薬を、私は今回初めて減らすことになりました。
最初は怖さもありました。
でも、実際に始めてみると、少なくとも今回の減薬では、日常生活に大きな変化はありませんでした。
そして、改めて思ったのは、
「始める前に想像していた不安と、実際に起きたことは違う」
ということです。
これは、認知行動療法で何度も経験してきたことでもあります。
新幹線に乗る前。
飛行機に乗る前。
電車に乗る前。
そして今回の減薬。
まだ起きていない未来を想像すると、不安は大きくなります。
でも、実際には、
「やってみなければ分からないこと」
もあります。
もちろん、薬の減量は自己判断で行うものではありません。
私はこれからも主治医と相談しながら、無理のないペースで進めていくつもりです。
長年の服薬生活を振り返りながら、
「薬とうまく付き合いながら、これからの人生をどう過ごしていくか」
を考えていきたいと思っています。
