各駅停車から始めた私の認知行動療法のトレーニング。
快速電車、新幹線こだま、快速急行、快速特急、新幹線ひかり、そして新幹線のぞみ。
さらに、11年ぶりに飛行機へ挑戦し、その後も羽田から札幌まで飛行機に乗る経験を重ねてきました。
以前の私にとって、これらは「絶対に無理」と思っていた乗り物です。
それが少しずつ乗れるようになりました。
しかし、ここまでトレーニングを続けてきて、次の課題が見えてきました。
それは、
「一度乗れるようになった」ことと、「いつでも普通に乗れる」ことは違う
ということです。
今回のテーマは、乗れるかどうかではありません。
新幹線や飛行機に乗ることを、特別な挑戦ではなく、普通の日常に近づけていくこと。
そのためのトレーニングについて、私自身の経験を振り返ります。
「乗れるようになった」その先へ
最初の頃は、とにかく「乗れること」が目標でした。
各駅停車に乗る。
快速に乗る。
新幹線こだまに乗る。
そして、最後には新幹線のぞみにも乗る。
飛行機にも11年ぶりに乗ることができました。
一つ一つの成功が、とても大きな意味を持っていました。
しかし、何度か成功を経験すると、別のことが気になってきました。
それは、
「次に乗るのは、いつになるのだろう?」
ということです。
在来線なら、必要になればすぐに乗ることができます。
ところが、新幹線や飛行機はそうはいきません。
乗るためには、それなりのお金も時間も必要です。
そのため、成功体験と次の成功体験との間が空いてしまいます。
トレーニングの間隔が空いてしまう
新幹線や飛行機に乗る機会は、日常生活の中では限られています。
私の場合、主な機会は、
ゴールデンウィーク
夏休み
年末年始の帰省
出張
などでした。
つまり、在来線のように頻繁にトレーニングすることができません。
せっかく新幹線に乗れるようになっても、次に乗るまでにかなり期間が空いてしまうことがあります。
すると、次に乗るときには、
「前回はたまたま大丈夫だったのではないか」
「今回は大丈夫だろうか」
という考えが出てくることがあります。
私自身も、そうした感覚を経験しました。
そこで、これからは単に「乗れるかどうか」ではなく、
「成功体験をどう定着させるか」
を意識するようになりました。
今回のテーマは「普通に乗る」
今回、私が意識したのは、
「普通に乗る」
ということでした。
これまでのトレーニングでは、
「今日は新幹線に挑戦する」
「今日は飛行機に挑戦する」
という意識が強くありました。
それだけに、乗車・搭乗すること自体が大きなイベントになっていました。
たくさん準備をする。
乗る前から緊張する。
不安が出てきたら対処する。
そして、
「何とか乗り切った」
と感じる。
もちろん、最初の段階ではそれでよかったと思います。
しかし、いつまでも「特別な挑戦」という位置づけでは、日常生活に戻ったとは言えません。
そこで、
「新幹線に乗ることも、飛行機に乗ることも、普通の移動の一つにしていこう」
と考えるようになりました。
新幹線のぞみでの帰省
今回の帰省では、新幹線のぞみに乗りました。
東京駅に着いた時点では、比較的落ち着いていました。
ところが、ホームに近づくにつれて、少しずつ緊張してきました。
そして、新横浜が近づくと、以前にも経験したような感覚が出てきました。
ここで以前の私なら、
「また不安になった」
「大丈夫だろうか」
と、そのこと自体を問題として捉えていたと思います。
しかし、今回は少し違いました。
頭の中に浮かんだのは、
「また来たな」
という感覚でした。
不安が出ても、驚かなくなった
これまでのトレーニングを続ける中で、私自身に変化がありました。
以前は、
「不安が出てきた=危険」
「不安が出てきた=この先うまくいかない」
と考えていました。
そのため、不安が出てくると、さらに不安になっていました。
しかし、何度も同じ経験をしていると、
「この感覚は以前にもあった」
と思えるようになってきました。
不安が出てきても、
「またこの波が来た」
くらいに捉えられるようになったのです。
これは、私にとってかなり大きな変化でした。
「新横浜を出れば落ち着く」という経験
今回の新幹線でも、私の中にはこれまでの経験がありました。
過去のトレーニングでは、新横浜を通過すると、その後は比較的落ち着いていました。
そのため今回は、
ここで降りたら後悔する
今まで何度も乗れている
いざとなれば何とかなる
新横浜を出れば落ち着く
と、自分に言い聞かせました。
そして実際、新横浜に到着すると少し落ち着き、発車した後はかなり平穏になりました。
これまで何度も経験してきたことが、今回は自分を支えてくれました。
不安そのものより「不安の変化」に気づいた
今回、特に印象に残ったのは、
不安がなくなったことではありません。
不安はありました。
しかし、
不安が強くなる → しばらくすると落ち着く
という流れを、自分自身が分かるようになっていたことです。
以前は、不安が強くなると、
「このままずっと続くのではないか」
と思っていました。
しかし今は、
「しばらくすれば落ち着く」
という経験を何度もしています。
そのため、不安が出てきても、それだけで大きな問題とは感じなくなってきました。
私にとっては、これは「乗れるようになった」こととは別の大きな変化でした。
復路は飛行機
今回の帰省では、復路に飛行機を利用しました。
飛行機についても、以前とは少し考え方が変わっていました。
以前の私は、
「薬を飲まなければ乗れない」
という感覚が強くありました。
しかし、この頃になると、
「必要なら服用できるように準備している」
ということ自体が安心材料になっていました。
「絶対に薬を使わない」ということにこだわるのではなく、
「必要になったら対応できる」
という準備がある。
それだけでも、私にとっては気持ちが違いました。
飛行機はスムーズに乗れた
実際の飛行機搭乗は、比較的スムーズでした。
搭乗前も大きな混乱はなく、機内でも落ち着いて過ごすことができました。
そして、ふと思いました。
「もう少し間隔を空けずに乗ったほうがいいかもしれない」
それまでの私は、飛行機に乗ること自体が大きなイベントでした。
それが少しずつ、
「また乗ってもいい」
と思えるようになっていました。
これは、私の中ではかなり大きな変化です。
「克服」の意味が変わってきた
ここまでトレーニングを続けてきて、私の中で「克服」という言葉の意味も変わってきました。
最初は、
「不安をなくすこと」
が克服だと思っていました。
しかし、実際にはそうではありませんでした。
不安は出てきます。
体調や疲れ、睡眠不足などによって、感じ方が変わることもあります。
それでも、
「不安が出ても行動できる」
「不安が出ても、やがて落ち着くことを知っている」
「不安が出たからといって、すぐに回避しなくてもいいと思える」
こうした状態に近づいていくことが、私にとっての克服に近いのだと思うようになりました。
「乗れるかどうか」から「普通に乗れるか」へ
認知行動療法を始めた頃は、
「電車に乗れるか」
が大きな問題でした。
その後、
「快速に乗れるか」
「新幹線に乗れるか」
「飛行機に乗れるか」
と、挑戦する対象が変わっていきました。
そして今度は、
「どうすれば、特別な準備をしなくても普通に乗れるのか」
を考えるようになりました。
これは、私にとって大きな変化でした。
「乗れるかどうか」という段階から、
「どうすれば日常の一部にできるか」
という段階に進んだからです。
トレーニングの目的は「特別な成功」を増やすことではない
ここまで振り返ってみると、最初の頃は一回一回の成功がとても重要でした。
「今日は快速に乗れた」
「今日は新幹線に乗れた」
「今日は飛行機に乗れた」
それだけで大きな達成感がありました。
しかし、最終的に目指したいのは、
「新幹線に乗れた!」
と毎回喜ぶことではありません。
仕事や旅行、帰省などで必要になったときに、
「新幹線で行けばいい」
と普通に考えられること。
飛行機が必要なら、
「飛行機で行こう」
と普通に選択できること。
私にとっては、こちらのほうが本当の意味で生活を取り戻すことにつながるのだと思います。
これまでの失敗も、今につながっている
ここまでのトレーニングでは、すべてが順調だったわけではありません。
乗車直前で回避したこともありました。
新幹線ひかりでは途中下車して、こだまに乗り換えたこともあります。
それでも、また挑戦しました。
そして、その経験があるからこそ、
「不安が強くなっても、それは永遠に続くわけではない」
ということを、自分自身の経験として少しずつ理解できるようになりました。
だから、過去の失敗も無駄ではなかったと思っています。
成功だけを積み重ねてきたわけではありません。
成功と失敗の両方を経験したことが、今の自分につながっています。
認知行動療法は「日常を取り戻す」ためのトレーニングだった
認知行動療法のトレーニングを始めた頃は、
「どうすれば不安をなくせるのか」
ばかり考えていました。
しかし、長く続けていくうちに、考え方が少しずつ変わっていきました。
不安は来る。
でも、その不安に振り回されずに行動することはできる。
そして、不安が去っていく経験を何度も積み重ねる。
そうすると、少しずつ「特別なこと」ではなくなっていく。
私にとって認知行動療法は、
恐怖と戦い続けるためのものではなく、普通の日常を少しずつ取り戻していくためのトレーニング
だったのだと思います。
まとめ
新幹線のぞみや飛行機に乗れるようになったことは、私にとって大きな前進でした。
しかし、本当の意味で生活を変えていくには、
「一度できた」から「繰り返しできる」へ。
そして、
「特別な挑戦」から「普通の日常」へ。
少しずつ変えていく必要がありました。
今の私は、
「新幹線や飛行機に乗れるか」
ではなく、
「どうすれば、普通の移動として乗り続けられるか」
を考える段階に進んでいました。
これは、私にとって認知行動療法の大きな一区切りだったと思います。
そして、この先にはさらに、
「安定して乗れる状態をどう維持するか」
という新しい課題が待っていました。
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