体験記

【認知行動療法④】快速特急に挑戦|不安が揺らいだ日でも「乗る」を選んだ私の体験

2026年5月7日

これまでの認知行動療法では、各駅停車、快速電車、新幹線こだま、快速急行と、少しずつ挑戦する範囲を広げてきました。

「乗れる範囲」が少しずつ広がり、トレーニングは順調に進んでいました。

次の目標は、快速特急です。

ところが、そんなときに思いがけない出来事がありました。

職場で、沖縄への出張を打診されたのです。

沖縄へ行くには飛行機に乗る必要があります。

当時の私にとって、飛行機はまだ大きな壁でした。

順調に進んでいると思っていた私の自信は、少し揺らぎました。

それでも私は、この日のトレーニングに向かいました。

突然の「沖縄出張」の打診

職場で沖縄への出張を打診されたとき、最初に感じたのは動揺でした。

これまでの私なら、飛行機に乗らなければならない時点で、すぐに断っていたと思います。

しかし、この頃の私は少し変わっていました。

「ある程度なら、やれるかもしれない」

そんな気持ちが、少しずつ芽生えていたのです。

ただ、沖縄となると話は別でした。

飛行機に乗ることは、私が作った不安階層表の中でも最終段階に位置する課題でした。

今の自分には、まだ早い。

そう判断しました。

そこで私は、上司に現在の状況を伝えることにしました。

「昨年、前の部署で体調を崩して以来、飛行機に乗ることができません。少しずつ回復しているので、またの機会にお願いできればと思います」

上司は理解を示してくれました。

「できない」と言えるようになった

「今はできない」と、自分の状態を落ち着いて伝えられたことが、一つの変化でした。

以前の私は、パニック障害のことを人に話すことに強い抵抗がありました。

恥ずかしい。

できれば知られたくない。

そんな気持ちがあったからです。

しかし、このときは自分の状況をそのまま伝えることができました。

上司に理解してもらえたことにも救われました。

振り返ってみると、これも私にとっては小さな前進だったと思います。

順調だったはずなのに、自信が揺らいだ

一方で、沖縄出張の話は私の自信にも影響しました。

それまで私は、

  • 各駅停車
  • 快速電車
  • 新幹線こだま
  • 快速急行

と、少しずつ乗れる範囲を広げていました。

「かなり順調に進んでいる」

そんな感覚がありました。

ところが、沖縄への出張を考えた瞬間、

「まだ飛行機には乗れない」

という現実を突きつけられました。

トレーニングが順調に進んでいても、まだできないことはある。

そのことを改めて実感したのです。

さらに、この日は少し風邪気味でした。

トレーニングを延期する理由なら、いくらでもありました。

それでもトレーニングに向かった

それでも私は、予定どおりトレーニングに向かいました。

理由は、ここで間隔を空けると、これまで積み上げてきた感覚が鈍ってしまうように感じたからです。

もちろん、本当に体調が悪いときまで無理をする必要はありません。

この日の私は、多少の体調不良と不安はありましたが、「何もできない」という状態ではありませんでした。

そこで、

「完璧な状態になるまで待つのではなく、できる範囲でやってみよう」

と考えました。

この日の経験から、私は一つのことを学びました。

不安や体調の波がなくなってから行動するのではなく、多少の揺らぎがある状態でも、自分にできる範囲で行動してみることも経験になるということです。

まずは成功している快速急行から

今回は、いきなり新しい課題に進むのではなく、これまで成功している快速急行から始めました。

新宿から新百合ヶ丘までの移動です。

ホームに立つと、やはり少し不安が出てきました。

それでも、ここで引き返すつもりはありませんでした。

これまで何度も乗ることができている区間です。

まずは、その感覚をもう一度確認してみようと思いました。

一度ためらって、それでも乗った

電車が入線し、ドアが開きました。

ところが、その瞬間、一度足が止まりました。

目の前のドアから、そのまま乗車することができなかったのです。

以前の私なら、

「今日は無理なのかもしれない」

と考えていたかもしれません。

しかし、この日は違いました。

私は数両分歩き、別のドアから乗車しました。

少し遠回りにはなりました。

それでも、

「乗らない」のではなく、「乗るために少しやり方を変える」

という選択ができました。

これは、この日の私にとって大切な経験でした。

快速急行に乗ると、これまでの感覚が戻ってきた

乗車後は、呼吸法を行いました。

そして、これまでのトレーニングで書いてきたメモを読み返しました。

すると、少しずつ気持ちが落ち着いてきました。

気がつけば、ほとんど平常心に戻っていました。

そのとき、

「戻ってこれた」

という感覚がありました。

沖縄出張の話で自信が揺らいでいた。

少し風邪気味だった。

乗車直前には足も止まった。

それでも、これまで積み重ねてきた経験はなくなっていませんでした。

一度不安になったからといって、これまでの成功が消えるわけではない。

このことを、実際の体験として確認できました。

帰りは快速特急「ロマンスカー」に挑戦

快速急行に乗ることができたことで、少しずつ自信が戻ってきました。

そこで、

「せっかくここまで来たのだから、もう一歩進んでみよう」

と思いました。

帰りは、快速特急のロマンスカーに挑戦することにしました。

新宿から新百合ヶ丘まで、約20分ノンストップです。

途中の駅で簡単に降りることができないという意味では、これまでよりも一段上の課題でした。

特急券を買うところから緊張した

特急券を購入するとき、少し緊張しました。

「本当に大丈夫だろうか」

という気持ちはありました。

一方で、ロマンスカーには指定席があります。

必ず座れる

ということは、私にとって安心材料でもありました。

ホームで電車を待ちます。

到着8分前。

まだ余裕があります。

到着5分前。

少しずつ緊張してきました。

そして、ロマンスカーが入線してきました。

その瞬間、緊張が一気に高まりました。

「閉じ込められる」と考えるのをやめた

ここで、これまでのトレーニングで学んできたことを思い出しました。

同じ状況でも、考え方を変えることはできます。

私は、

「20分間、閉じ込められる」

と考えるのではなく、

「20分間、座ってゆっくりできる」

と考えてみました。

状況そのものは変わりません。

新宿から新百合ヶ丘まで途中で降りられないことも同じです。

それでも、同じ状況を別の角度から捉えてみることはできます。

同時に呼吸法も行いました。

すると、少しずつ緊張が和らいできました。

座席に座った瞬間、気持ちが変わった

実際に乗車し、指定された座席に座りました。

ゆったりしたシート。

静かな車内。

そして、座っていられるという安心感。

座席に腰を下ろした瞬間、気持ちは一気に落ち着きました。

自然に、

「大丈夫だ」

と思えました。

そして約20分。

快速特急での移動を終えることができました。

今回の挑戦から学んだこと

今回のトレーニングは、これまでのように「何の問題もなく成功した日」ではありませんでした。

むしろ、いくつもの不安要素が重なっていました。

  • 沖縄出張を打診され、自信が揺らいだ
  • 飛行機にはまだ乗れないという現実を再確認した
  • 少し風邪気味だった
  • 快速急行への乗車直前に足が止まった
  • それでも快速急行に乗った
  • その経験を土台に、快速特急へ挑戦した

この一連の流れを経験して、私は、

「不安がなくなってから前に進む必要はない」

と思うようになりました。

不安になることはあります。

自信が揺らぐこともあります。

乗車直前に足が止まることもあります。

それでも、そこからもう一度行動することはできます。

「一度できたこと」は、次の挑戦を支えてくれる

今回、特に大きかったのは「復習」の意味でした。

私はいきなり快速特急に挑戦したわけではありません。

まず、これまで何度も乗ってきた快速急行に乗りました。

そこで、

「自分はこれまで何度も乗れている」

という経験をもう一度確認しました。

そのうえで、次の課題に進みました。

振り返ってみると、認知行動療法のトレーニングでは、過去の成功経験そのものが次の挑戦を支える材料になるのだと思います。

新しいことに挑戦するとき、最初から自信満々である必要はありません。

「以前はできた」

という経験を思い出すだけでも、次の一歩を踏み出すきっかけになります。

回復は一直線ではなかった

この日の経験から、もう一つ強く感じたことがあります。

それは、

回復は一直線ではない

ということです。

順調に進んでいたと思ったところで、沖縄出張の話が出てきて、自信が揺らぎました。

体調も万全ではありませんでした。

乗車直前に足が止まることもありました。

それでも、これまでの経験を使ってもう一度動くことができました。

そして、最終的には快速特急にも乗ることができました。

以前の私は、

「不安がある=失敗」

と考えていたのかもしれません。

しかし、この日の経験から、

「不安があっても行動できた」こと自体が前進なのではないか

と思えるようになりました。

完璧である必要はありません。

途中で揺らいでもいい。

一度ためらってもいい。

そこから、もう一度前に進めばいい。

快速特急への挑戦は、私にとって単に「電車に乗れた」というだけではありませんでした。

不安や自信の揺らぎを抱えたままでも、これまでの成功を力に変えて、次の一歩を踏み出せた経験だったのです。

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