体験記

【認知行動療法④】快速特急への挑戦|沖縄出張打診の動揺を抱えながら

2026年5月7日

【認知行動療法】30分の壁への挑戦

これまでのトレーニングは、順調に進んでいました。

各駅停車、快速電車、新幹線こだま、快速急行。
段階的にステップを踏みながら、「乗れる範囲」は確実に広がってきていました。
次なる目標は快速特急。

しかし、その流れに水を差す出来事がありました。

突然の“沖縄”

職場で、出張の打診がありました。

これまでの自分であれば、即座に断るしかない話でした。
しかしこの時の私は、少し違っていました。

「ある程度なら、やれるかもしれない」

そんな気持ちが、わずかに芽生えていたのです。

ですが、提示された行き先は——沖縄でした。

飛行機が必要です。

沖縄への飛行機出張は、私が作成した不安階層表の最終段階に位置するものです。

今の自分にとっては、明らかに時期尚早でした。

“言えた”という変化

私は上司に伝えました。

「昨年、前の部署で体調を崩して以来、飛行機に乗ることができません。少しずつ回復しているので、またの機会にお願いできればと思います」

こうした内容を、落ち着いて話すことができました。

以前の自分であれば、考えられないことでした。

パニック障害のことを人に話すのは、強い抵抗がありました。
恥ずかしいこと、隠すべきことだと思っていたからです。

しかしこの時は、「あるがままを伝える」という選択ができました。

上司は理解を示してくれました。

そのことにも救われました。

揺らいだ自信

ただ、この出来事は少なからず影響を残しました。

自分の中で、「まだそこには行けない」という現実を突きつけられた形になったのです。

トレーニングは順調でも、最終目標との距離はまだある。

その認識が、わずかながら自信を揺らしました。

さらに、体調も万全ではありませんでした。

軽い風邪気味。
トレーニングを延期する理由はいくらでもありました。

それでも行く理由

それでも、今回は行くことにしました。

理由はシンプルです。

ここで間隔を空けてしまうと、これまで積み上げてきた感覚が鈍ると分かっていたからです。

「ベストな状態でやる」

それは理想ですが、現実的ではありません。

多少の不調や不安を抱えたままでも、行動する。
それもまた、トレーニングの一部だと考えました。

まずは“復習”から

今回はいきなり新しい課題には進まず、これまで成功している区間の復習から入りました。

新宿から新百合ヶ丘まで、快速急行での移動です。

ホームに立つと、やはり少し不安が出てきました。

ただ、ここで引き返す選択はありませんでした。

ここまで来てやめれば、それは明確な「回避」になります。

一度ためらい、それでも乗る

電車が入線し、ドアが開きました。

一瞬、足が止まりました。

そのまま目の前のドアに乗り込むことができませんでした。

そこで、数両分歩きました。

そして、改めて乗車しました。

少し遠回りではありましたが、「乗る」という行動を優先しました。

安定の再確認

乗車後、呼吸法を行い、気持ちはすぐに落ち着きました。

これまでのトレーニングメモを読み返しながら、新しくメモを書き始めます。

気がつけば、完全に平常心でした。

「戻ってこれた」

そう思いました。

快速特急”ロマンスカー”への挑戦

せっかくここまで来たので、帰りは一歩踏み込むことにしました。

ロマンスカーでの移動です。

新宿から新百合ヶ丘まで、約20分のノンストップ。

これまでよりも“閉じ込められる感覚”が強い条件です。

乗車前の緊張

特急券を購入する時、少し緊張しました。

しかし同時に、「必ず座れる」という安心感もありました。

ホームで待つ時間。

到着8分前。まだ余裕があります。
到着5分前。少し緊張が出てきました。

そして、入線。

一気に緊張が高まりました。

考え方を変える

ここで、これまで学んできたことを使いました。

「閉じ込められる」と考えるのではなく、
「ここでゆっくりできる」と考える。

視点を変えました。

同時に、呼吸法も行いました。

すると、少しずつ落ち着きを取り戻しました。

座った瞬間に変わる世界

乗車し、座席に座りました。

ゆったりとしたシート。
静かな車内。

その瞬間、気持ちは一気に落ち着きました。

「大丈夫だ」

自然にそう思えました。

今回の意味

今回のトレーニングは、不安要素を含んでいました。

・沖縄出張を打診された動揺
・自信の揺らぎ
・体調の不安

それでも、

・回避しなかった
・復習(快速急行)で再現性を確認した
・新しい挑戦(快速特急)もできた

この一連の流れが、大きな意味を持っていました。

回復は、一直線ではありません。

進んだり、揺れたりしながら、それでも前に進んでいくものです。

今回、そのことを改めて実感しました。

完璧である必要はありません。

止まらなければいい。

そう思えるようになってきました。

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