資産運用

【退職金運用】JEPQ・JEPIからQQQI・SPYIへ?私がROCとQIIに注目した理由

2026年6月21日

退職金の運用を考え始めたとき、私が最初に注目したのは「どれだけ高い分配金を受け取れるか」でした。

そこで候補にしたのが、JPMorganのJEPQとJEPIです。

NASDAQ100をベースにしたJEPQと、S&P500をベースにしたJEPI。

どちらも毎月分配を行うカバードコールETFで、退職後の生活費を補うインカム資産として非常に魅力的に見えました。

ところが、その後さらに調べていくと、QQQIとSPYIというETFに出会いました。

最初は「JEPQやJEPIの別バージョン」くらいに考えていたのですが、調べれば調べるほど気になる違いが見えてきました。

それが、ROC(Return of Capital)とQII(Qualified Interest Income)です。

私の退職金運用に対する考え方は、ここから大きく変わりました。

退職金運用の目的は「元本毀損を抑えながらキャッシュフローを最大化すること」

私が退職金運用を考えるうえで最も重視しているのは、資産額を最大化することではありません。

退職後の生活費を、できるだけ安定して生み出すことです。

私の場合、2032年8月の定年退職時に約3,000万円の退職金を受け取る想定で、退職後は再就職せず、年金や運用収入を組み合わせて生活する計画を立てています。

そのため、退職金運用については、

  • 大きな値上がりを狙いすぎない
  • 暴落時にすべての資産が同時に下落することを避ける
  • 毎月の生活費に使えるキャッシュフローを確保する
  • 税金を含めて手取り額を考える

ということを重視しています。

この考え方から、最初に検討したのがJEPQ・JEPIを中心としたポートフォリオでした。

詳しい検討過程はこちらの記事にまとめています。

退職金運用のポートフォリオ|元本毀損しない範囲でキャッシュフローを最大化

退職金3000万円をどう運用する?JEPQ・JEPIを中心としたポートフォリオをバックテストし、暴落時のリスクや資産の同時下落を検証。退職後の生活費を守るために、分散投資とキャッシュフローを重視した運用方法を考えます。

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最初はJEPQとJEPIで十分だと思っていた

JEPQとJEPIには、それぞれ大きな魅力があります。

ETF主な対象私が感じた魅力
JEPQNASDAQ100成長性とインカムの両立
JEPIS&P500関連の大型株比較的穏やかな値動きとインカム

どちらも単純な株式ETFではなく、株式への投資にオプション戦略を組み合わせることで、オプションプレミアムなどを収益源として毎月の分配を目指しています。

そのため、退職後の「使うためのお金」を作るという目的には、とても相性がよいように思えました。

実際、私も当初は、

「JEPQとJEPIを中心にして、あとは債券ETFを組み合わせれば十分ではないか」

と考えていました。

ところが、ここで一つの疑問が出てきました。

同じ「10%の分配金」でも、手取りは同じなのか?

例えば、年間100万円の分配金を受け取るとします。

米国ETFの分配金では、一般的に米国での源泉徴収と日本での課税を考える必要があります。

単純化して考えれば、

100万円

米国源泉税

日本での課税

最終的な手取り

となります。

つまり、ETFを比較するときに「分配利回り10%だから10%使える」と考えることはできません。

私が最初に見ていたのは、

  • 分配利回り
  • 毎月分配かどうか
  • 株価・基準価額が大きく下落しないか

でした。

しかし、退職後に実際に生活費として使うのは、税引前の分配金ではなく、税金を差し引いた後に残る現金です。

ここに気付いてから、私はETFの見方を変えました。

「利回り」ではなく「税引後キャッシュフロー」で考える

現役時代なら、多少分配金が少なくても給与収入があります。

しかし、定年後は給与収入がなくなる予定です。

そのため私にとって重要なのは、

「この3,000万円から、毎年いくらの現金を取り出せるのか?」

ということです。

極端な例ですが、同じ3,000万円を運用していても、

  • 年間の手取りキャッシュフローが200万円
  • 年間の手取りキャッシュフローが250万円

では、退職後の生活は大きく変わります。

そこで私は、ETFを比較するときに、

利回り

分配金

税金

税引後キャッシュフロー

まで考えるようになりました。

そして、そこで出会ったのがROCでした。

ROCとは?

ROCはReturn of Capitalの略で、日本語では「元本払戻金」「資本の返還」などと表現されます。

ETFの分配金は、必ずしも一つの収益だけから構成されているわけではありません。

例えばNEOSのQQQIやSPYIでは、オプションプレミアム、配当、キャピタルゲイン、利息などが分配金の原資となり得ます。

そして、その分配金の一部が税務上ROCとして分類されることがあります。

NEOS自身も、QQQIとSPYIの分配について、ROCに分類される場合があることを説明しています。

ROC=「タコ足配当」ではない

ROCについて調べると、

「ROCはタコ足配当だから危険」

という説明をよく見かけます。

確かに、投資先の収益がほとんどないにもかかわらず、単純に元本を取り崩して分配しているのであれば、投資家として注意が必要です。

しかし、ROCという税務上の分類と、ETFの経済的な収益源は分けて考える必要があります。

QQQIやSPYIの場合、オプション戦略などによって収益を生み出したうえで、その分配の一部が税務上ROCとして扱われることがあります。

つまり、

ROCという分類=ETFが単純に元本を食いつぶしている

とは限りません。

私がROCに注目した最大の理由は「米国源泉税」

私がROCに注目した最大の理由は、米国源泉税の取り扱いです。

日本居住者が米国ETFから分配金を受け取る場合、通常は米国で源泉徴収が行われます。

しかし、ROCとして分類された部分については、日米租税条約上、米国源泉税の課税対象とならない扱いがあります。

実際、Moomoo証券も、ROCは原則として日米租税条約で定められた10%の米国源泉税の課税対象にならないと説明しています。ただし、受取時に一旦源泉徴収され、後から還付されるケースもあるとしています。

つまり、ROCには、単なる「元本返還」という意味だけではなく、米国源泉税の負担を抑え、税引後キャッシュフローを改善する可能性があります。

ここが、私がJEPQ・JEPIからQQQI・SPYIに興味を持つようになった大きな理由です。

QQQIとSPYIは、なぜROCを活用できるのか?

ここで、QQQIとSPYIの仕組みそのものにも注目しました。

NEOSによれば、QQQIはNASDAQ100の構成銘柄に投資しながら、NDX指数オプションを利用したデータドリブンなコール戦略を組み合わせています。

SPYIはS&P500の構成銘柄に投資しながら、SPX指数オプションを利用したコール戦略を組み合わせています。

さらに、単純にコールを売るだけではなく、売却したコールと購入したコールを組み合わせることで、上昇相場での値上がりを取り込む余地も持たせています。

この点は、私がQQQI・SPYIを単純な「高配当ETF」とは考えていない理由の一つです。

QQQI・SPYIは、

  • 株式の値上がり益
  • 株式からの配当
  • オプションプレミアム
  • 税務上の取り扱い

を組み合わせながら、毎月の高いインカムを狙うETFなのです。

QQQIの詳細については、こちらの記事で詳しく比較しています。

JEPQとQQQIを徹底比較|NASDAQ100系カバードコールETFはどちらを選ぶべきか

JEPQとQQQIの違いとは?NASDAQ100を対象とした人気のカバードコールETFを比較し、分配金、リスク、税制面の特徴を解説。退職後の生活費を支えるインカム投資として、QQQIを選択した理由を紹介します。

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SPYIについてはこちらです。

JEPIとSPYIを徹底比較|S&P500系カバードコールETFはどちらを選ぶべきか

JEPIとSPYIの違いとは?人気の米国カバードコールETFを比較し、分配金利回り、リスク、税制面の特徴を解説。退職後の生活費を支えるインカム投資として、どちらが向いているのか検証します。

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もう一つ気になったのがQII

ROCを調べている途中で、もう一つ気になる仕組みを知りました。

それがQII(Qualified Interest Income)です。

QIIは、一定の利子収入について、米国非居住者に対する米国源泉税の免除対象となる仕組みです。

つまり、債券ETFなどの分配金についても、すべてが一律に米国源泉税10%の対象になるわけではありません。

ETFの分配金のうちQIIに該当する部分については、米国源泉税が免除される可能性があります。

ここで重要なのは、QIIの割合はETFや年度によって変わるということです。

例えばJ.P. Morganが公表している2026年のQII資料では、JPSTについて月ごとに異なるQII比率が掲載されています。

つまり、

「JPSTはQIIだから分配金の100%が米国非課税」

という単純な話ではありません。

QIIに該当する部分だけが対象になります。

ROCとQIIは何が違うのか?

 ROCQII
正式名称Return of CapitalQualified Interest Income
主な対象資本返還として分類される分配一定の利子収入
代表的なETFQQQI・SPYISPHY・JPSTなど
米国源泉税対象外となる扱いがある対象部分が免除される場合がある
私が注目した理由インカムETFの税引後CF債券ETFの税引後CF

私にとっては、ROCとQIIは別々の制度というより、

「米国ETFから受け取るキャッシュフローを、税引後で考えるための重要なポイント」

という位置づけになりました。

JEPQ・JEPIからQQQI・SPYIへ考え方が変わった

ここまで調べて、私は退職金運用の候補を見直しました。

最初の候補は、

  • JEPQ
  • JEPI
  • SPHY
  • JPST

でした。

しかし、現在の考え方は、

  • QQQI
  • SPYI
  • SPHY
  • JPST

という組み合わせに変わっています。

もちろん、これは「QQQIやSPYIの方がJEPQやJEPIより絶対に優れている」という意味ではありません。

JEPQやJEPIには、長い運用実績や大きな純資産規模など、非常に大きな安心感があります。

一方で私の場合は、

「2032年の定年後から20年以上、退職金から生活費を受け取り続ける」

という目的があります。

そのため、単純な利回りだけではなく、

「税金を払った後に、実際いくら残るのか?」

まで考えてQQQI・SPYIに魅力を感じるようになりました。

私が「利回り」から「税引後キャッシュフロー」に変わった理由

退職金運用を始めた頃の私は、ETFをかなり単純に見ていました。

例えば、

「利回り10%なら年間300万円」

という具合です。

しかし、実際に生活費として使えるのは300万円ではありません。

税金を差し引いた後の金額です。

さらに、ETFの分配金には、通常の配当だけでなく、オプション収益、キャピタルゲイン、利息、ROCなど、さまざまな要素が含まれます。

だからこそ、私は今ではETFを比較するときに、

「分配利回りが何%か?」

だけでは判断しません。

「その分配金は何から生まれているのか?」

「米国でどのように課税されるのか?」

「日本でどのように課税されるのか?」

「最終的に手元にいくら残るのか?」

まで考えるようになりました。

そして現在の退職金運用ポートフォリオへ

こうした検討を重ねた結果、現在私が考えている退職金3,000万円の運用ポートフォリオは、次のようになっています。

ETF比率3,000万円の場合役割
QQQI30%900万円NASDAQ100+高インカム
SPYI30%900万円S&P500+高インカム
SPHY30%900万円ハイイールド債によるインカム
JPST10%300万円守り・待機資金・リバランス

このポートフォリオの考え方については、こちらの記事で詳しく検証しています。

退職金運用ポートフォリオ公開|米国ETFでキャッシュフローを最大化する運用戦略【2026年版】

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また、SPHYとJPSTを選んだ理由については、それぞれ個別の記事でも詳しく書いています。

ただし、ROCとQIIにも注意点がある

ここまで読むと、

「ROCやQIIを利用できるETFを買えば、税金を大幅に減らせる」

と思うかもしれません。

しかし、そこまで単純ではありません。

ROCの割合は一定ではない

ROCの割合は毎年、毎月同じとは限りません。

NEOSも、分配金の分類について月次の19a-1通知で推定内訳を公表しています。

したがって、過去にROC比率が高かったからといって、将来も同じ割合になるとは限りません。

QIIの割合も変わる

QIIについても同じです。

JPSTなどのQII比率は月によって変化します。

したがって、QIIによる米国源泉税の軽減効果を考える場合も、毎年の実績を確認する必要があります。

日本の税金は別に考える

そして最も重要なのが、

「米国源泉税がかからない=日本の税金もかからない」

ではないということです。

私はROCやQIIを「無税にする仕組み」として考えているわけではありません。

米国での源泉税負担を抑えられる可能性があることで、税引後キャッシュフローを改善できる可能性がある。

これが私の理解です。

私が最終的に重視したのは「20年間の差」

退職金運用では、1年間だけの差なら、それほど大きな問題ではないかもしれません。

しかし私の場合、定年後20年以上にわたって退職金を運用することを想定しています。

仮に毎年の税引後キャッシュフローに数万円、数十万円の差が出るなら、それが10年、20年と積み重なります。

だからこそ、

「利回りが何%高いか」

だけではなく、

「20年間で、税引後にいくら受け取れるのか」

という視点が重要だと考えるようになりました。

これが、私がROCとQIIに注目した一番大きな理由です。

まとめ|退職金運用は「利回り」だけでは決められない

退職金運用を始めた頃の私は、

「高利回りのETFを組み合わせれば、生活費を作れる」

と考えていました。

しかし、調べていくうちに、考え方が変わりました。

重要なのは、単純な分配利回りではありません。

「どのように収益を生み出しているのか」

「その分配金にどのような税金がかかるのか」

「最終的にいくら手元に残るのか」

まで考える必要があります。

その視点から見ると、私にとってQQQI・SPYIは非常に興味深いETFでした。

そして、債券ETFについてもQIIという仕組みを知ったことで、SPHYやJPSTの見方が変わりました。

現在の私は、

QQQI 30%
SPYI 30%
SPHY 30%
JPST 10%

というポートフォリオを、定年後の退職金運用の有力候補として考えています。

もちろん、ETFの分配金やROC・QIIの割合、税制は将来変わる可能性があります。

そのため、定年退職までの間も情報を更新しながら、最終的な運用方法を決めていくつもりです。

退職金運用について私が最も重視しているのは、資産額の最大化ではありません。

「定年後の生活を支えるキャッシュフローを、できるだけ長く維持すること」です。

そのために、私はこれからも「利回り」だけではなく、税引後キャッシュフローまで含めて退職金運用を考えていきます。

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