体験記

【認知行動療法⑧】新幹線のぞみに挑戦|1時間半の無停車区間を乗り越えた体験

2026年5月9日

各駅停車から始まった、私の乗車トレーニング。

在来線の各駅停車から快速電車へ。
そして新幹線こだま、快速急行、快速特急、新幹線ひかりへと、少しずつ挑戦してきました。

その過程では、うまくいった日だけでなく、乗車直前で回避してしまった日や、途中下車した日もありました。

それでも少しずつ経験を積み重ね、今回ついに挑戦することになったのが、

新幹線のぞみです。

私にとっては、これまでのトレーニングの集大成ともいえる挑戦でした。

新幹線のぞみが最大の壁だった理由

今回、最大の課題になったのが、

新横浜駅から名古屋駅までの約1時間半の無停車区間

です。

これまでのトレーニングでは、30分を超える無停車区間が大きな壁になっていました。

それを考えると、約1時間半という時間は、私にとってまったく別次元の長さでした。

「その間にパニック発作が起きたらどうしよう」

「途中で降りたくなったらどうしよう」

そんな不安が出てきます。

一方で、ここを乗り越えることができれば、新幹線を使った長距離移動の可能性が大きく広がります。

「途中で降りられない時間が長くても、私は大丈夫なのか」

それを確かめる挑戦でもありました。

前日の夜に強くなった予期不安

前日の夜から不安が出てきました。

日中、仕事で忙しくしている間は、それほど気になりません。

ところが夜になり、翌日のことを考える時間ができると、

「もし車内でパニック発作が起きたら……」

という考えが何度も浮かんできました。

これは、これまでのトレーニングでも経験してきた予期不安でした。

そこで私は、呼吸法に意識を向けました。

そして、

「今ここで答えを出そうとしない」

と考えるようにしました。

明日のことを何度考えても、実際にどうなるかは乗ってみなければ分かりません。

だから、この段階で不安と何度も戦うのではなく、できるだけ考え続けないようにしました。

新幹線ホームに着いた瞬間、緊張が高まった

当日の朝は、それほど強い混乱はありませんでした。

ところが、新幹線のホームに到着した瞬間です。

急に緊張感が高まりました。

「本当に乗るのか?」

そんな気持ちが出てきて、一瞬、回避することも頭をよぎりました。

ここで思い出したのが、以前のロマンスカーへの挑戦でした。

そのときも、乗車直前になって不安が急激に強くなりました。

それでも私は乗車し、最終的には無事に目的地まで到着しています。

そこで今回は、

「今は判断しない。とにかく乗る」

と自分に言い聞かせました。

「乗るか、やめるか」を何度も考えていると、不安について考える時間がどんどん増えてしまいます。

そこで、判断すること自体をいったんやめました。

そして、

「まず乗る」

という一つの行動に集中しました。

「乗る」と決めると、少しずつ落ち着いてきた

不思議なことに、「回避するかどうか」を考えるのをやめて「乗る」と決めると、気持ちは少しずつ落ち着いていきました。

私の場合、ここで役に立ったのが、それまでのトレーニングで使ってきた方法です。

  • 呼吸法

  • 五感に意識を向ける

  • 筋弛緩法

  • メモを書く

  • 不安以外のことに注意を向ける

もちろん、これらを使ったからといって、不安が一瞬で消えるわけではありません。

ただ、

「不安があるから何もできない」

という状態から、

「不安はあるけれど、やることはできる」

という状態に切り替えるためのきっかけにはなりました。

いよいよ最大の壁「新横浜」

東京駅を出発し、品川を通過します。

そして、車内アナウンスが流れました。

「まもなく新横浜です」

ここから先が、今回の最大の課題です。

新横浜を出発すると、名古屋まで約1時間半、途中の駅には停まりません。

それまでの私は、「30分」という時間でも大きな不安を感じていました。

そのため、

「1時間半もある」

と考えれば、当然不安は強くなります。

そこで私は、「1時間半」という数字そのものをできるだけ意識しないようにしました。

そして、これまでのトレーニングでも使っていたメモを書くことにしました。

新横浜を出発した瞬間、変化が起きた

新横浜に到着。

そして――発車。

ここが今回の大きな分岐点でした。

ところが、実際に新横浜を出発すると、予想していたほどの不安は続きませんでした。

むしろ、少しずつ落ち着いてきました。

そこで私は、

  • 呼吸法

  • 五感法

  • 筋弛緩法

などを使いながら、意識を不安から別のところへ向けました。

すると、時間が経つにつれて不安が薄れていきました。

気がつけば、普通に乗っていた

さらに時間が経つと、メモを書く必要すら感じなくなりました。

窓の外の景色を見たり、ぼんやりしたり。

特別なことをする必要もなく、普通に車内で過ごしていました。

ふと、

「今、自分は新幹線のぞみに普通に乗っている」

と気づきました。

以前の私は、30分を超える無停車区間ですら大きな壁だと感じていました。

それが今は、

新横浜から名古屋まで約1時間半の無停車区間を走る新幹線のぞみに乗っている。

この事実が、自分でも信じられませんでした。

「不安がなくなってから乗る」ではなかった

今回の経験で、私が一番大きく感じたのは、

「不安がなくなったから乗れたわけではない」

ということです。

前日の夜には予期不安がありました。

当日、ホームに着いたときにも緊張しました。

「やっぱりやめようか」と考えた瞬間もありました。

それでも、

不安がある状態のまま「乗る」という行動を選んだ。

そして、実際に乗ってみると、途中から不安が弱くなっていきました。

私にとっては、この経験そのものが大きな意味を持っていました。

これまでの「失敗」も無駄ではなかった

ここまでのトレーニングを振り返ると、すべてが順調だったわけではありません。

乗車直前で回避したこともありました。

新幹線ひかりでは、往路は最後まで乗れた一方、復路では途中下車しました。

30分を超える無停車区間にも、最初は乗ることができませんでした。

当時は「失敗した」と感じました。

しかし、今振り返ると、それらの経験があったからこそ、

  • どの場面で不安が強くなるのか

  • 自分は何を恐れているのか

  • 不安が強くなったとき、何をすればいいのか

  • 一度回避しても、再び挑戦できること

  • 成功と失敗を繰り返しながらでも前に進めること

を少しずつ知ることができました。

今回の「のぞみ」への挑戦も、突然できるようになったわけではありません。

各駅停車から始めた一つ一つの経験が、ここにつながっていました。

「各駅停車しか乗れなかった自分」からの変化

乗車トレーニングを始めた頃の私は、各駅停車に乗ることにも不安を感じていました。

それが、

各駅停車
↓
快速
↓
新幹線こだま
↓
快速急行
↓
快速特急
↓
新幹線ひかり
↓
新幹線のぞみ

と、少しずつ駅間の距離や時間を広げてきました。

もちろん、これで「すべての不安がなくなった」というわけではありません。

それでも、

「不安があっても、自分で行動を選べる」

という感覚は、以前とは大きく違います。

私にとっては、それが今回のトレーニングで得られた一番大きなものだったと思います。

認知行動療法で私が学んだこと

私が認知行動療法のトレーニングを通じて学んだのは、

「不安を完全になくしてから行動する必要はない」

ということでした。

もちろん、毎回うまくいくわけではありません。

怖くなって回避してしまうこともあります。

途中で降りることもあります。

それでも、そこで終わりではありません。

またできる範囲から挑戦すればいい。

私の場合は、その繰り返しによって、少しずつ行動できる範囲が広がっていきました。

今回、新幹線のぞみに乗れたことで、私の中では大きな一区切りになりました。

そして、次に残された大きな課題が――

飛行機です。

新幹線のぞみで約1時間半の無停車区間を経験した私は、次はいよいよ空路に挑戦することになります。

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