資産運用

IDVOとは?QQQI・SPYIへの組入効果を退職金ポートフォリオで検証

2026年8月28日

定年退職後の資産運用を考える中で、私が重視しているのは、資産を大きく減らさずに、安定したインカムを得ることです。

現在、退職金3,000万円を運用する場合の候補として、

  • QQQI
  • SPYI
  • SPHY
  • JPST

を組み合わせるポートフォリオを考えています。

QQQIとSPYIで株式のインカムを確保し、SPHYでさらに分配金を補い、JPSTを安定資産として組み合わせる考え方です。

一方で、このポートフォリオには以前から気になっている点があります。

米国への集中です。

そこで私は、以前から「米国以外にも資産を分散できないだろうか」と考えていました。

ADR銘柄から「米国以外への分散」を考えた

実は、米国以外への分散を考えるのは今回が初めてではありません。

以前、ADR銘柄について調べていた時期があり、英国のたばこ大手British American Tobacco(BTI)にも注目していました。

私がBTIに興味を持った理由の一つは、英国企業であるため、英国では一般的な株式配当に対する源泉徴収税がないという点です。

米国ETFの分配金には米国での源泉税が発生するため、米国以外の高配当企業に投資することで、税引後のインカムを少しでも効率化できないかと考えました。

また、BTIは米国企業ではありません。

そのため、米国株に集中しているポートフォリオにBTIを加えれば、投資する国そのものを分散できるというメリットがあります。

しかし、調べていくうちに、一つの問題が気になりました。

BTIはあくまで個別株です。

どれだけ配当利回りが魅力的でも、会社固有のリスクを避けることはできません。

つまり、

「米国以外に分散したい」という目的は達成できても、「個別株リスクを取りたくない」という条件までは満たせない。

そこで私は、

「米国以外に分散できる」

+「複数の国・企業に投資できる」

+「退職後に必要なインカムを得られる」

という条件を満たすETFを探すようになりました。

ところが、これが意外と難しいのです。

オルカンにカバードコールはない

もちろん、世界分散だけを考えれば、全世界株式に投資する「オルカン」のような商品があります。

しかし、私が求めていたのは単なる世界分散ではありません。

定年退職後の資産運用では、資産の成長だけでなく、保有中に生み出されるキャッシュフローも重視したいと考えています。

オルカンは世界中の株式に幅広く投資する商品ですが、カバードコールによってオプションプレミアムを得て、高いインカムを生み出すことを目的としたETFではありません。

つまり、

「世界分散」だけならオルカンで実現できる。

しかし、「世界分散+高インカム」という条件を加えると、選択肢はかなり限られる。

これが、私が以前から感じていた問題でした。

カバードコールETFそのものの仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

DIVOを調べていてIDVOを知った

そんな中、2026年に楽天証券でDIVOの取り扱いが始まったというニュースをきっかけに、私は改めてDIVOについて調べることにしました。

DIVOは米国の大型株を中心に投資しながら、個別銘柄に対して戦術的にカバードコールを行い、配当とオプションプレミアムの両方からインカムを得るETFです。

そしてDIVOについて調べている中で、私はIDVOというETFの存在を知りました。

IDVOは、DIVOと同じAmplifyのCWPシリーズに属しながら、米国以外の国際株式を投資対象とし、カバードコールによるインカムを狙うETFです。(amplifyetfs.com)

これを知ったとき、

「これは、以前から探していた商品にかなり近いのではないか?」

と思いました。

BTIでは個別株リスクが気になる。

オルカンではカバードコールによるインカム戦略がない。

DIVOでは米国株への集中が残る。

一方、IDVOなら、

米国以外への分散+複数企業への分散+配当+カバードコール

を一つのETFで実現できます。

もちろん、これだけで「IDVOを買うべき」と結論づけることはできません。

重要なのは、

IDVOを私のQQQI・SPYI・SPHY・JPSTというポートフォリオに加える意味が本当にあるのか?

ということです。

そこで、ここからはIDVOの中身を詳しく確認し、最後に実際のポートフォリオへ組み入れた場合の効果まで検証します。

IDVOとは?どのような役割を持つETFなのか

IDVOは正式にはAmplify CWP International Enhanced Dividend Income ETFです。

米国以外の国際株式を中心に投資し、配当収入に加えて個別銘柄へのカバードコールによるオプションプレミアムを得ることを目指しています。

私のポートフォリオにおける各ETFの役割を整理すると、次のようになります。

ETF主な投資対象ポートフォリオでの役割インカム戦略
QQQI米国NASDAQ100米国成長株+インカムカバードコール
SPYI米国S&P500米国大型株+インカムカバードコール
IDVO米国以外の国際株国際分散+インカムカバードコール
SPHY米国ハイイールド債高インカム債券
JPST米国超短期債安定性・待機資金短期債

この表から分かるように、IDVOは現在のポートフォリオにはない、

「米国以外の株式+インカム」

という役割を担うことになります。

では、実際にどの国・セクター・企業に投資しているのでしょうか。

IDVOの国別構成|本当に米国以外へ分散できるのか

IDVOの国別構成を見ると、特定の一国に集中するのではなく、複数の国に分散していることが分かります。

構成比
カナダ16.95%
英国13.92%
台湾7.87%
メキシコ6.93%
日本6.57%
アルゼンチン4.70%
ブラジル4.47%
スペイン4.01%
ドイツ3.92%
中国3.75%
その他26.91%

※2026年6月30日時点

カナダや英国を中心に、日本、台湾、メキシコ、ブラジルなど幅広い国が含まれています。

なお、米国も2.62%含まれています。

したがって、IDVOは「米国を完全に除外したETF」ではなく、米国以外を中心とした国際株式ETFです。

IDVOのセクター構成|国だけでなく産業も違う

IDVOのセクター構成を見ると、QQQIやSPYIとの違いがさらに明確になります。

セクター構成比
金融22.42%
素材13.09%
エネルギー12.84%
情報技術11.37%
通信サービス10.86%
生活必需品9.74%
ヘルスケア7.52%
資本財6.83%
公益3.16%
一般消費財2.17%

※2026年6月30日時点

特に金融・素材・エネルギーの比率が高い点が特徴です。

金融、素材、エネルギーの3セクターだけで約48%を占めています。

これは、米国大型テクノロジー企業の影響を受けやすいQQQIやSPYIとはかなり異なる構成です。

つまりIDVOの分散効果は、

「国が違う」

だけではありません。

「投資する産業も違う」

というところにもあります。

IDVOの上位10銘柄|QQQI・SPYIとは企業そのものが違う

さらに保有銘柄を見ると、その違いがよく分かります。

順位銘柄ティッカー比率
1Taiwan Semiconductor ManufacturingTSM4.75%
2Bank of MontrealBMO3.44%
3Mitsubishi UFJ Financial GroupMUFG3.37%
4Sumitomo Mitsui Financial GroupSMFG3.09%
5Alibaba Group HoldingBABA3.09%
6SiemensSIEGY3.04%
7ASML HoldingASML3.01%
8Southern CopperSCCO2.85%
9Vodafone GroupVOD2.83%
10America MovilAMX2.67%

※2026年8月20日時点

ここで特に注目したいのが、MUFGやSMFGなど日本企業が含まれていることです。

QQQIやSPYIの主要構成銘柄であるNVIDIA、Apple、Microsoftなどとは大きく異なります。

つまりIDVOを加えることで、

米国株を別のETFで持つのではなく、現在のポートフォリオにはない企業群を追加できる

そして、ここまで確認して私が次に知りたくなったのが、

「実際の値動きも違うのだろうか?」

ということでした。

QQQI・SPYI・IDVOの相関係数を比較

相関係数とは、二つの資産がどの程度似た値動きをするかを見る指標です。

1に近いほど同じ方向に動き、0に近いほど値動きが異なる傾向があります。

そこで、2024年1月~2026年6月の共通期間について、月次リターンを使用して5本のETFの相関係数を計算しました。

 QQQISPYIIDVOSPHYJPST
QQQI1.000.910.410.570.16
SPYI0.911.000.550.770.33
IDVO0.410.551.000.570.38
SPHY0.570.770.571.000.63
JPST0.160.330.380.631.00

ここで特に注目したいのが、

QQQI × SPYI=0.91

に対して、

QQQI × IDVO=0.41

SPYI × IDVO=0.55

だったことです。

QQQIとSPYIは、投資対象や戦略に違いがあるものの、値動きという意味ではかなり似ています。

一方、IDVOは米国株ETFとは異なる値動きをしていました。

これは、IDVOを組み入れることでポートフォリオ全体の分散効果を高められる可能性を示しています。

ただし、IDVOそのものが低リスクという意味ではありません。

IDVOも株式ETFです。

つまりIDVOの役割は、

「株式リスクをなくすこと」ではなく、「株式リスクを異なる国・セクター・企業へ分散すること」

だと考えています。

QQQIやSPYIを含む主要なカバードコールETFについては、こちらの記事で横断的に比較しています。

IDVOを5%・10%・15%組み入れてみた

ここからは、私自身の退職後ポートフォリオにIDVOを加えた場合をシミュレーションします。

現在考えている基本ポートフォリオは次の通りです。

ETF比率3,000万円の場合
QQQI30%900万円
SPYI30%900万円
SPHY30%900万円
JPST10%300万円
合計100%3,000万円

IDVOを組み入れる場合は、SPYIの一部をIDVOに振り替えます。

 現行IDVO 5%IDVO 10%IDVO 15%
QQQI30%30%30%30%
SPYI30%25%20%15%
IDVO0%5%10%15%
SPHY30%30%30%30%
JPST10%10%10%10%
IDVO金額0円150万円300万円450万円

この3パターンについて、過去データからリスク・リターン・分配金を比較します。

IDVOを加えるとリスク・リターンはどう変わる?

2024年1月~2026年6月の共通期間における月次リターンを使って計算しました。

指標現行IDVO 5%IDVO 10%IDVO 15%
年率リターン14.21%14.49%14.77%15.05%
年率ボラティリティ6.97%6.82%6.70%6.61%
最大ドローダウン-4.02%-3.66%-3.31%-3.08%
簡易シャープレシオ2.042.122.212.28

過去のこの期間だけを見ると、IDVOの組入比率を増やすにつれて、

年率リターンは上昇し、ボラティリティと最大ドローダウンは低下

する結果になりました。

ただし、これはあくまで過去の結果です。

「IDVOを増やせば、必ずリスクが下がり、リターンも上がる」という意味ではありません。

特にIDVOは設定からの期間が比較的短いため、長期的な検証には限界があります。

したがって、この数字は将来の予想ではなく、過去データによる比較材料として捉える必要があります。

しかし、IDVOを増やすと分配金は減る

ここが私にとって非常に重要なポイントです。

私は定年退職後、資産の値上がりだけではなく、安定した分配金によるキャッシュフローを重視しています。

そこで、現在の想定分配利回りを使って比較しました。

 現行IDVO 5%IDVO 10%IDVO 15%
想定分配利回り10.43%10.11%9.79%9.47%
3,000万円の年間分配額312.8万円303.2万円293.6万円284.0万円
現行との差額-9.6万円-19.2万円-28.8万円

IDVOのDistribution Rateは2026年7月31日時点で5.93%です。なお、AmplifyはDistribution Rateが将来の分配金を保証するものではなく、分配金にはROCが含まれる場合があると説明しています。(amplifyetfs.com)

つまり、IDVOを組み入れることで分散効果が期待できる一方、

インカムが減る

というコストがあります。

これは非常に重要です。

分散効果は無料ではありません。(リスクを減らすとリターンも減る)

IDVOを5%・10%・15%のどこまで入れるべきか?

ここまでの検証結果から、それぞれの意味を整理してみます。

IDVO 5%|インカムをできるだけ維持したい

IDVOは150万円。

ポートフォリオ全体への影響は小さく、米国以外への分散を少し取り入れることができます。

「米国集中は気になる。でもインカムはできるだけ減らしたくない」

という場合には、5%でも十分意味があります。

IDVO 10%|分散とインカムのバランス

IDVOは300万円。

過去データでは、

  • ボラティリティ:6.97% → 6.70%
  • 最大ドローダウン:-4.02% → -3.31%

となりました。

一方、想定分配利回りは、

10.43% → 9.79%

です。

3,000万円なら年間分配額は約293.6万円。

私は、この10%が最もバランスの良い候補だと感じました。

IDVO 15%|分散をより重視するなら

IDVOは450万円。

過去データではボラティリティ6.61%、最大ドローダウン-3.08%まで低下しました。

一方、想定分配利回りは9.47%。

年間分配額は約284万円です。

つまり、分散をさらに進める代わりに、年間約29万円の分配金を手放すことになります。

私の場合は、退職後のキャッシュフローを重視しているため、

15%までIDVOを増やす必要性はそれほど高くない

と考えています。

私ならIDVOを10%程度の候補として考える

今回、IDVOについて調べてみて、その役割がかなり明確になりました。

IDVOを加える理由は、単純に、

「世界分散できるから」

ではありません。

私の現在のポートフォリオには、

  • 米国NASDAQ100
  • 米国S&P500
  • 米国ハイイールド債
  • 米国超短期債

があります。

ここにIDVOを加えることで、

米国以外の国・異なるセクター・異なる企業群

を追加できます。

しかも、IDVOは単純な国際株式ETFではなく、カバードコールによるインカムも狙います。

これは、以前BTI(ADR銘柄)やオルカンを検討した際に生じた、

「世界分散はできるけれど、個別株リスクがある」

「世界分散はできるけれど、高インカム戦略ではない」

という問題を、ある程度解決できる商品だと感じました。

一方で、IDVOを増やすほど分配金は減ります。

そのため、私なら現時点では、

IDVO 5~10%程度

を検討します。

特に、

「米国集中を緩和する効果」と「退職後のインカム」

のバランスを考えると、10%程度が有力候補です。

ただし、IDVOは2026年8月時点で日本の証券会社ではまだ一般的に購入できないため、現時点では実際のポートフォリオには組み入れていません。

DIVOやQDVOが2026年に日本の主要証券会社で購入可能となったため、IDVOも私の退職金運用開始(2032年)までには間に合うと思うので、検証を続けていきます。

まとめ|IDVOを加える意味は「世界分散」だけではない

今回IDVOについて調べてみて、私は「世界分散」という言葉をもう少し具体的に考える必要があると感じました。

IDVOのメリットは、単に米国以外の国に投資できることではありません。

国・セクター・企業のすべてを分散できることです。

そして実際の月次リターンを比較すると、

  • QQQI × SPYI:0.91
  • QQQI × IDVO:0.41
  • SPYI × IDVO:0.55

となりました。

さらに、私のポートフォリオにIDVOを組み入れると、過去のデータではボラティリティや最大ドローダウンが低下しました。

一方で、IDVOの分配利回りはQQQI・SPYIより低いため、組入比率を高めるほどインカムは減少します。

だからこそ、

「世界分散だからIDVO」

ではなく、

「退職後のインカムをどこまで維持しながら、米国集中をどこまで緩和するか」

という視点で考える必要があります。

私の場合は、現時点では、

QQQI 30%

SPYI 20~25%

IDVO 5~10%

SPHY 30%

JPST 10%

あたりを検討する価値があると考えています。

IDVOが今後、日本の証券会社で取り扱われるようになれば、改めて購入を検討したいと思います。

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