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はじめに|行動だけでは限界があった
ここ数か月、私は再発したパニック障害に対して、再び認知行動療法へ取り組んでいました。
駅間5分
駅間10分
一度は普通にできていたことを、もう一度ゼロから積み上げています。
その過程で、
呼吸法
筋弛緩法
五感法(ツボ押し等)
など、「不安への対処法」を増やしてきました。
実際、それらは一定の効果がありました。
しかし同時に、疑問も感じていました。
”行動”を積み上げて慣れていけば、本当に克復することができるのだろうか。
再発を防ぐには、自分の頭の中にある”考え方”を変えていく必要があるのでは。
そんな疑問です。
そこで今回のカウンセリングでは、認知行動療法に加えて「認知再構成法」に取り組むことになりました。
認知行動療法に加わった「認知再構成法」
これまで行ってきた認知行動療法は、
「実際に行動し、成功体験を積み重ねる」
という方法でした。
たとえば、
駅間5分
駅間10分
特急
新幹線
飛行機
と、不安階層表に沿って段階的に挑戦していく方法です。
これは非常に重要です。
パニック障害では、
「逃げれば安心する」
という誤学習が脳に刻まれてしまいます。
そのため、
「乗っても大丈夫だった」
という経験を反復して学習し直す必要があるのです。
一方、今回取り組んだ認知再構成法は少し違いました。
こちらは、
「その時、自分が何を考えていたか」
に注目します。
つまり、
不安な状況
その時の感情
頭に浮かんだ考え
その考えの根拠
を整理し、
「本当にその考え方しか無いのか?」
を検討していく方法でした。
パニック障害では“考え方”が暴走する
パニック障害になってから、私はずっと、
「逃げられない」
「閉じ込められる」
「発作が起きたら終わりだ」
という考えに支配されてきました。
しかも厄介なのは、それらが“自然に浮かぶ”ことです。
考えようとしているわけではありません。
勝手に浮かぶ。
認知再構成法では、これを「自動思考」と呼ぶそうです。
例えば飛行機に乗ると、
「また発作が起きる」
「今回は耐えられない」
「もう克服は無理だ」
と瞬時に考えてしまいます。
そして、その考えを100%事実だと思い込んでしまう。
結果、不安がさらに増幅する。
まさに負の連鎖です。
実際に作成した認知再構成表
今回、私は実際に認知再構成表を作成しました。
テーマは、2020年の帰省時に飛行機内で強い不安に襲われた経験です。
① 状況・環境
飛行機で帰省中、離陸後30分頃に突然発作的不安が生じ、その後も着陸まで不安が続き、帰路を電車に変更した。
以来現在まで飛行機に乗れていない。
② 気分(不安強度を0~100で評価)
高所恐怖(100)
逃げられない(100)
③ 自動思考(その状況で、ふと頭に浮かんだ考え)
また再発した。
離陸時は平気だったのに、途中でこうなるなら、搭乗中はずっと安心できない。
④ なぜそう思ったか(③の根拠)
10年以上トレーニングを積み上げてきて、飛行機を克服したと思っていたから。
「発車・離陸さえすれば、大丈夫」と、ここ10年の経験で信じていた拠り所が無くなったから。
⑤ 別の考え方(他の考えの可能性)
一度は克服したのだから再トレーニングすれば乗れるようになるかもしれないその日がたまたま条件が悪かったのかも しれない 。
途中で不安が来ても、自信をもって対処できるような引き出しを持っていれば良かったかもしれない。
⑥ 新たな考え方(⑤の中から取り入れることができそうな考え方をまとめる)
再発するならトレーニングに意味は無いと思ったが、まだ克服ではなく途上なのかもしれない。
条件には逆らえない。 確率を高めよう。
引き出しをたくさん持ち、1つ1つをしっかり訓練して、緊急時にも使えるようにしよう。
⑦ 新たな気分(⑥を取り入れた後、②の変化)
高所恐怖(まだ考え方の引き出し無し)
逃げられない(100→70)
「克服」ではなく「途上」なのかもしれない
今回の認知再構成法で特に印象的だったのは、
「克服した/失敗した」
という二択で考えなくなったことでした。
私はずっと、
乗れれば成功
回避したら失敗
と極端に考えていました。
しかし現実には、
体調
ストレス
疲労
環境
など、多くの条件が絡みます。
つまり、常に揺れ動くものなのです。
だからこそ、
「一度悪化した=全部無意味」
ではない。
これは、今後の再トレーニングにおいて、とても大切な視点だと思いました。
行動療法と認知再構成法の違い
今回整理して理解できたのは、
認知行動療法と認知再構成法は、役割が違うということでした。
認知行動療法
・行動で誤学習を修正する
・「乗っても大丈夫」を身体で覚える
認知再構成法
・思考の偏りを客観視する
・「本当にそうなのか?」を検討する
つまり、組み合わせることによって
行動
思考
の両面から修正していく方法なのです。
どちらか片方だけでは不十分なのかもしれません。
まとめ|不安との付き合い方を再学習していく
パニック障害になってから、私はずっと、
「不安を消したい」
と思っていました。
しかし最近は、少し考え方が変わってきました。
不安はゼロにならなくてもいい。
ただ、不安だけを唯一の現実だと思わないこと。
そのために、
・行動で学び直す
・思考を整理する
そうやって少しずつ、自分の認知を修正していく。
認知再構成法は、そのための大切な技法なのだと思いました。
