資産運用

563Aとは?NASDAQ100カバード・コールETFを退職金運用で検証

2026年9月4日

私は定年退職後、再就職せずに自由に暮らすことを目指しています。

そのため、定年退職時に受け取る退職金についても、単に預金として保有するのではなく、生活費を生み出しながら資産を長く維持する運用を考えています。

これまで退職金3,000万円の運用候補として、

  • QQQI

  • SPYI

  • SPHY

  • JPST

などを検討してきました。

そんな中、2026年4月に東証へ新しいETFが上場しました。

それが、

グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF(563A)

です。

NASDAQ100を投資対象とし、カバード・コール戦略によってインカムを狙うETFです。

「これは退職金運用の候補になるかもしれない」

と思い、詳しく調べてみることにしました。

今回は563Aの仕組みだけでなく、私が以前から検討してきたQQQI・SPYI・SPHY・JPSTと組み合わせ、3,000万円を20年間運用した場合に、分配金を生活費として使いながら元本をどこまで維持できるのかまでシミュレーションします。

563Aとは?

563Aは、NASDAQ100を対象としたカバード・コールETFです。

正式名称は、

グローバルX NASDAQ100・デイリー・カバード・コール ETF

です。

2026年4月21日に設定され、東証に上場しています。

実質的な運用管理費用は年率0.2775%程度で、毎月分配を行います。

対象となる指数は、

NASDAQ-100 Daily Covered Call Target Premium 15% Index

です。

この指数は、NASDAQ100への投資と、NASDAQ100に関連するコールオプションの売却を組み合わせています。

つまり、

NASDAQ100の値上がり益

オプションプレミアムによるインカム

の両方を狙う仕組みです。

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「15%」は分配利回りではない

563Aを調べると「15%」という数字が目に入ります。

しかし、ここは注意が必要です。

この15%は、

ETFの分配利回り15%を保証する数字ではありません。

対象指数が、年間15%程度のオプションプレミアムを獲得することを目標としているという意味です。

実際の分配金は市場環境などによって変動します。

563Aの分配金は、2026年7月が100口当たり1,400円、8月が900円でした。

設定からまだ数か月しか経過していないため、現時点で「年間分配利回り15%」と考えるのは適切ではありません。

この記事でも、15%という数字は将来の分配利回りではなく、シミュレーション上の仮定として扱います。

563Aは韓国ETFを経由している

563Aについて調べていて、もう一つ気になったのが投資構造でした。

563Aは米国ETFに直接投資しているわけではありません。

大まかには、

日本の投資家

東証563A

韓国上場ETF

NASDAQ100関連資産+オプション

という構造になっています。

このため、投資先で外国所得税が発生します。

一方で、563Aは外国税額控除による二重課税調整の対象です。

したがって、

「日本のETFだから分配金に日本の20.315%だけ課税される」

と単純に考えることはできません。

外国でどれだけ税金が発生し、そのうちどの程度が日本の税金から調整されるのかを見る必要があります。

Global Xは563Aについて、二重課税調整に必要な情報を公表しています。

この点は、563Aを評価するときに重要なポイントだと思います。

QQQIと比較してみる

私が563Aに興味を持った理由の一つが、NASDAQ100を対象としたカバード・コールETFだったことです。

私は以前から、米国ETFのQQQIを退職金運用の候補として検討してきました。

QQQIもNASDAQ100をベースとして、オプション戦略によって高水準のインカムを狙うETFです。

2026年7月末時点で、QQQIの分配率は14.01%。

設定来のNAV年率リターンは18.02%でした。

一方、563Aは2026年4月設定なので、まだ長期的な運用実績がありません。

そのため、

「563AとQQQIのどちらが優れているか」

と今の段階で結論づけるのではなく、それぞれの特徴を比較することにしました。

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563A・QQQI・SPYIの違い

 563AQQQISPYI
投資対象NASDAQ100NASDAQ100S&P500
カバード・コール日次アクティブ型アクティブ型
分配毎月毎月毎月
運用管理費用等約0.2775%0.68%0.68%
売買通貨日本円米ドル米ドル
投資構造韓国ETFを経由米国ETF米国ETF
二重課税調整あり米国ETFとして別の税務米国ETFとして別の税務
運用実績まだ短い2024年設定2022年設定

563AとQQQIはどちらもNASDAQ100を対象としています。

しかし、同じ商品ではありません。

投資構造もオプション戦略も税務上の取り扱いも異なります。

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QQQI・SPYIではROCも重要

QQQIやSPYIを調べると、もう一つ重要な特徴があります。

それがReturn of Capital(ROC)です。

2026年のQQQIでは、月によって分配金の大部分がROCとして推定されています。

SPYIでも同様に、ROCの割合が高い月があります。

NEOSは、最終的な税務上の分類は年末の税務書類で確定するため、19a-1通知に記載されたROC比率は推定値であると説明しています。

ROCが多いからといって、

「分配金が全部非課税になる」

という意味ではありません。

現在のキャッシュフローに対する税負担が軽くなる場合がある一方、取得価額の調整などを通じて将来の課税につながる可能性があります。

したがって、QQQIやSPYIについても、

分配利回りだけで税引後収益を判断しない

ことが重要です。

3,000万円を5本のETFに配分する

今回、私の退職金3,000万円を次のように配分してみます。

ETF投資額比率
563A600万円20%
QQQI600万円20%
SPYI600万円20%
SPHY900万円30%
JPST300万円10%
合計3,000万円100%

それぞれの役割は、

563A・QQQI

NASDAQ100+カバード・コールによるインカム

SPYI

S&P500+カバード・コールによるインカム

SPHY

米国ハイイールド債によるインカム

JPST

超短期債による価格変動を抑えたインカム

です。

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現在の分配水準なら年間いくら?

現在確認できる分配水準を単純に当てはめてみます。

ETF投資額分配率等年間分配金
563A600万円15%目標※90.0万円
QQQI600万円14.01%84.1万円
SPYI600万円12.04%72.2万円
SPHY900万円7.19%64.7万円
JPST300万円4.18%12.5万円
合計3,000万円約10.78%約323.5万円

※563Aの15%は分配利回りではなく、対象指数のオプションプレミアム目標です。

現在の水準を単純に当てはめると、

年間約323万円

の分配金となります。

月平均では、

約26.9万円

です。

ただし、これは現在の水準を単純に当てはめただけの試算です。

将来も年間323万円を受け取れるという意味ではありません。

特に563Aは運用実績が短いため、今後の分配金の推移を確認する必要があります。

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では、20年間運用するとどうなる?

ここからが今回の検討の本題です。

私は60歳で定年退職し、退職金3,000万円を運用しながら、分配金を生活費として使うことを想定しています。

そこで、

60歳から80歳までの20年間

についてシミュレーションします。

シミュレーションの計算条件

まず、前提を明確にします。

初期資産

3,000万円

運用期間

20年間

60歳から80歳まで。

初期配分

  • 563A:600万円

  • QQQI:600万円

  • SPYI:600万円

  • SPHY:900万円

  • JPST:300万円

分配金

毎年すべて生活費として使用

分配金は再投資しません。

為替

考慮しません。

米国ETFでは実際にはドル円の変動が円ベースの資産価値に大きく影響しますが、今回はETFそのものの運用を比較するため、為替変動を除外しています。

インフレ

考慮しません。

実際の老後生活では物価上昇を考慮する必要があります。

将来のトータルリターンを3ケースに分ける

将来の運用成績を正確に予測することはできません。

そこで、

悲観ケース

標準ケース

楽観ケース

の3パターンを設定します。

ETF悲観標準楽観
563A8%12%16%
QQQI8%12%16%
SPYI7%10%13%
SPHY5%6%7%
JPST3%3.5%4%

これらは将来の予想値ではありません。

例えばQQQIの2026年7月末時点の設定来NAV年率リターンは18.02%、SPYIは14.65%でした。

しかし、この実績をそのまま20年間延長するのは楽観的です。

そこで標準ケースでは、

QQQI:12%

SPYI:10%

と過去実績より低い数字を採用しました。

563Aについては長期実績がないため、QQQIと同じ12%を仮定しています。

これは563Aの将来リターンを予測しているわけではありません。

あくまでシミュレーション上の条件です。

分配率も一定と仮定する

シミュレーションでは、比較を単純化するため、現在確認できる分配水準を一定と仮定します。

ETFシミュレーション上の分配率
563A15.00%
QQQI14.01%
SPYI12.04%
SPHY7.19%
JPST4.18%

ただし、ここにも注意が必要です。

563Aの15%は分配利回りではありません。

また、他のETFについても将来の分配率が一定になる保証はありません。

したがって、これはあくまで、

「この分配率とトータルリターンが20年間続いたらどうなるか」

を見るためのシミュレーションです。

元本をどう計算するのか?

トータルリターンには、

分配金+基準価額の変化

が含まれます。

今回は分配金を再投資せず、生活費として使います。

そこで簡易的に、

元本の年間変化率 = トータルリターン − 分配率

とします。

例えば563Aの標準ケースでは、

12% − 15% = −3%

です。

つまり、分配金を使ってしまうことで、元本部分は毎年3%減少するというモデルです。

QQQIなら、

12% − 14.01% = −2.01%

SPYIなら、

10% − 12.04% = −2.04%

SPHYなら、

6% − 7.19% = −1.19%

JPSTなら、

3.5% − 4.18% = −0.68%

となります。

元本の計算式

各ETFについて、毎年、

翌年の元本 = 前年の元本 ×(1+トータルリターン−分配率)

として計算します。

例えば563Aの初年度600万円なら、標準ケースでは、

600万円 ×(1+12%−15%)= 582万円

となります。

2年目は、

582万円 × 97% = 564.54万円

です。

この計算を20年間繰り返します。

QQQI、SPYI、SPHY、JPSTについても同じ計算を行い、最後に5本を合計します。

標準ケースの結果

標準ケースで20年間運用すると、各ETFの元本は次のようになります。

ETF初期投資額元本変化率80歳時点
563A600万円−3.00%約326万円
QQQI600万円−2.01%約401万円
SPYI600万円−2.04%約398万円
SPHY900万円−1.19%約710万円
JPST300万円−0.68%約262万円
合計3,000万円 約2,093万円

つまり、

60歳:3,000万円

からスタートして、

80歳:約2,093万円

となります。

20年間、分配金を生活費として使いながら運用しても、80歳時点で約2,100万円が残るという結果です。

悲観・標準・楽観を比較する

3つのケースを比較すると、

ケース60歳80歳20年後の差
悲観3,000万円約1,342万円▲約1,658万円
標準3,000万円約2,093万円▲約907万円
楽観3,000万円約3,504万円+約504万円

となります。

同じ3,000万円からスタートしても、運用環境によって20年後の資産には大きな差が出ます。

これは、退職金運用では、

「何%分配されるか」

だけではなく、

「分配金を受け取った後に資産がどれだけ成長するか」

を見る必要があることを示しています。

このシミュレーションには重要な限界がある

今回の計算は、あくまで単純化したモデルです。

実際には、

  • 分配金が毎年変動する

  • 株価が毎年変動する

  • オプションプレミアムが変動する

  • 債券価格が変動する

  • 為替が変動する

  • 税金が変動する

  • インフレが進む

  • ETFそのものの運用方針が変わる

可能性があります。

また、今回の計算では、毎年の分配金を一定の割合として扱っています。

現実には、分配金が減少する年もあれば、増加する年もあります。

したがって、

「80歳時点で2,093万円になる」

という予測ではありません。

あくまで、

「設定した条件が20年間続いた場合の計算結果」

です。

税引後分配金はどう考えるべきか?

今回、税引後分配金を20年間固定してシミュレーションしなかったのには理由があります。

ETFによって税務上の性質が異なるからです。

QQQI・SPYIでは、

  • ROC

  • オプションプレミアム

  • 配当

  • キャピタルゲイン

  • Section 1256

などが関係します。

563Aでは、

  • 韓国ETF段階の外国税

  • 二重課税調整

が関係します。

そのため、

「分配金×71.7165%」

のような一律の税率を20年間適用するのは、実際の税負担を正確に表しているとはいえません。

今回の記事では、

分配金の概算

元本の20年シミュレーション

を分けています。

実際の退職金運用では、その年の税務上の分配金分類や外国税額控除を確認する必要があります。

為替を考慮すると結果はさらに変わる

今回、為替変動は考慮していません。

しかし、

  • QQQI

  • SPYI

  • SPHY

  • JPST

は米ドル建てです。

日本で生活する私にとっては、

ドル建ての運用成績

だけではなく、

ドル円の変動

も重要です。

円高になれば円ベースの資産価値は減少し、円安になれば増加します。

563Aは東証で円で売買できますが、実質的な投資対象は米国資産なので、円建てだから為替リスクがないわけではありません。

今回はETFの運用力を比較するため、為替変動を除外しています。

インフレも考慮していない

もう一つの大きな注意点がインフレです。

60歳時点で年間300万円の生活費が必要だったとしても、20年後の80歳では同じ300万円では足りない可能性があります。

今回のシミュレーションでは、

60歳から80歳まで物価が変わらない

と仮定しています。

したがって、実際の老後資金計画では、

運用収益+年金+インフレ

を合わせて考える必要があります。

563Aのメリット

ここまで調べて、563Aには魅力的な点がいくつかあると感じました。

東証ETF

日本の証券口座で円で売買できます。

NASDAQ100

NASDAQ100の成長力を取り込みながら、カバード・コールによるインカムを狙えます。

低コスト

実質的な運用管理費用は約0.2775%程度です。

二重課税調整

韓国ETFを経由することで外国税が発生しますが、二重課税調整の仕組みがあります。

563Aの最大の弱点

一方、最大の弱点は、

運用実績がまだ短いこと

です。

2026年4月設定なので、

高いインカムを得ながら長期的に元本を維持・成長できるのか

については、まだ十分なデータがありません。

これは、2024年から運用されているQQQIなどと比較した場合の大きな違いです。

今後は、

  • 分配金

  • 基準価額

  • トータルリターン

  • 二重課税調整

  • 純資産残高

  • 実質的なコスト

を確認していきたいと思います。

私は563Aをどう使うか

現時点では、563AをQQQIの代わりにするというより、

563AとQQQIを併用する

という考え方に興味があります。

563Aには、

日本上場・円建て・低コスト

という特徴があります。

一方、QQQIには、

米国ETFとしての運用実績・ROC・NDXオプション・Section 1256

などの特徴があります。

同じNASDAQ100を対象とするカバード・コールETFでも、商品構造や税務が異なります。

そのため、両方を比較しながら保有する意味はあると思っています。

私の退職金3,000万円の暫定ポートフォリオ

現時点では、次の配分を一つの候補としています。

ETF金額比率役割
563A600万円20%NASDAQ100+カバード・コール
QQQI600万円20%NASDAQ100+カバード・コール
SPYI600万円20%S&P500+カバード・コール
SPHY900万円30%ハイイールド債
JPST300万円10%超短期債
合計3,000万円100% 

ただし、これは2032年の退職時点で確定した配分ではありません。

特に563Aについては、これから数年間の運用実績を見ながら比率を変更する可能性があります。

まとめ|563Aは「高分配」だけで判断しない

今回563Aを詳しく調べてみて分かったのは、単純に、

「15%だから高配当でお得」

と考えるETFではないということでした。

563Aは、

NASDAQ100

に投資しながら、

日次カバード・コール

によってオプションプレミアムを獲得するETFです。

さらに、

韓国上場ETFを経由する独特の投資構造

を持ち、外国税と二重課税調整も関係します。

一方、QQQIやSPYIにもROCやSection 1256など、それぞれ独自の特徴があります。

そのため、単純な分配利回りだけで比較するのではなく、

分配金 + 元本成長 - 税金 - コスト

まで考える必要があります。

私の場合、定年退職後に再就職せずに暮らすことを目指しているため、退職金3,000万円についても、

「年間何%もらえるか」

だけではなく、

「生活費を受け取りながら、20年後にどれだけ資産が残るか」

を重視しています。

今回のシミュレーションでは、3,000万円を563A・QQQI・SPYI・SPHY・JPSTに分散し、分配金を生活費として使うという条件で計算しました。

その結果、80歳時点の残存元本は、

悲観ケース:約1,342万円

標準ケース:約2,093万円

楽観ケース:約3,504万円

となりました。

もちろん、これは将来の運用成果を予測したものではありません。

トータルリターン、分配率、為替、インフレ、税金などを単純化したシミュレーションです。

特に563Aはまだ運用実績が短いため、今後の実績を確認する必要があります。

それでも、

NASDAQ100+カバード・コール+東証上場+低コスト

という特徴は、私の退職金運用にとってかなり興味深い組み合わせです。

現時点では、563Aを特定のETFの代替商品と決めつけるのではなく、退職金3,000万円のインカムポートフォリオに加える候補の一つとして考えています。

実際に退職金を受け取る2032年までに、563Aがどのような運用実績を積み上げるのか。

そして、

高いインカムを得ながら、長期的に元本を維持・成長させられるのか。

この点を引き続き確認していきたいと思います。

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