資産運用

SPYIとS&P500定率売却を徹底比較|退職金運用するならどっち?

退職後の資産運用を考え始めると、多くの人が一度は悩むテーマがあります。

それは、

「S&P500インデックスファンドを定期売却して生活する方法」と、「SPYIのようなカバードコールETFの分配金で生活する方法」のどちらが有利なのか。

私自身も退職後の運用方法を検討する中で、この疑問に何度もぶつかりました。

そこで今回は、できるだけ条件をそろえたシミュレーションを行い、両者の違いを比較してみました。

比較する2つの運用方法

まずは比較対象を整理します。

S&P500インデックスファンド

S&P500に連動するインデックスファンドへ投資し、毎年資産の10%を売却して生活費に充てる方法です。

資産が増えれば取り崩し額も増え、資産が減れば取り崩し額も減ります。

市場の成長を100%取り込めることが最大の魅力です。

SPYI

SPYIはS&P500をベースにしたカバードコールETFです。

保有株式からの配当に加え、コールオプションのプレミアム収入を分配金の原資とし、高い分配金を目指しています。

分配金にはROC(Return of Capital:元本払戻し)が含まれることもありますが、これは必ずしも「元本を削って配っている」という意味ではなく、税務上の分類によるものもあります。

SPYIの魅力は、高い分配金を受け取りながら生活費を確保できることです。

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シミュレーション結果

市場全体の成長を取り込めるため、

SPYIに比べて相対的に高いリターンが得られる

S&P500インデックスファンドに軍配が上がる

というのが、今回のシミュレーション結果です。

「それならSPYIは必要ない」と言えるのか?

「それならS&P500インデックスファンドを定率売却した方が良いのでは?」

と思われるかもしれません。

実は、私自身もシミュレーション結果を見たとき、まったく同じことを考えました。

資産額が成長し、受取額も増加傾向なら、あえてカバードコールETFを選ぶ理由はないようにも見えます。

しかし、検証を進めるうちに、ある重要なことに気付きました。

今回のシミュレーションで使った「年率15.09%」という数字です。

これはS&P500の近年の平均リターン(SPYIの設定以降の期間)であり、

毎年15.09%ずつ増えることを意味しているわけではありません。

現実の株式市場では、

  • 大きく上昇する年
  • 横ばいの年
  • 大きく下落する年

が繰り返されます。

つまり、平均リターンだけでは、退職後の資産運用は語れないのです。

退職後に最も怖い「シーケンス・オブ・リターン・リスク」

多くの人は、

退職後に一番怖いのは暴落だと思っています。

もちろん暴落は嫌なものです。

しかし、本当に怖いのは、

暴落することではありません。

暴落した直後に、

生活費のために資産を売却しなければならないこと

なのです。

例えば退職した翌年に株価が30%下落したとします。

それでも生活費は必要なので、

予定どおり資産を売却します。

すると、

という状態になります。

これが、シーケンス・オブ・リターン・リスクです。

平均リターンが同じでも、

暴落のタイミングによって資産寿命が大きく変わってしまう理由がここにあります。

SPYIはシーケンスリスクを緩和する仕組みを持っている

では、SPYIはどうでしょうか。

私は、今回の検証を通して、

SPYIの本当の価値は

「高い分配金」そのものではない

と考えるようになりました。

本当の価値は、

シーケンスリスクを緩和する仕組み

にあると思います。

もちろん、

SPYIがシーケンスリスクを完全になくすわけではありません。

しかし、

リスクを和らげる特徴をいくつも備えています。

理由① 暴落時でも株数(口数)を減らさずに済みやすい

S&P500インデックスファンドの定率取り崩しでは、

生活費は資産を売却して確保します。

一方、SPYIでは、

生活費の多くを分配金で受け取ることを前提としています。

もちろん分配金は保証されておらず、相場によって増減します。

それでも、

生活費を確保するために、毎年一定量の口数を売却する必要性は小さくなります。

つまり、

暴落局面でも保有口数を維持しやすく、

その後の相場回復の恩恵を受けやすいのです。

理由② オプションプレミアムは暴落局面で増えやすい

SPYIの分配金は、

企業からの配当だけで構成されているわけではありません。

大きな収益源の一つが、

コールオプションのプレミアム収入

です。

市場が大きく荒れると、

オプション価格は上昇する傾向があります。

つまり、

株価は下落していても、

プレミアム収入は増えやすくなるという特徴があります。

もちろん、

株価下落をすべて補えるわけではありません。

しかし、

暴落局面で収益源の一部が強くなる可能性がある

という点は、

通常のインデックスファンドにはない特徴です。

理由③ キャッシュフローの源泉が分散されている

S&P500インデックスファンドで売却金を得る場合、

その原資は、

資産の売却

です。

一方、SPYIでは、

分配金の原資が複数あります。

  • 株式配当
  • オプションプレミアム
  • ROC(元本払戻しを含む税務上の分類)

つまり、

分配金を生み出すキャッシュフローが、

一つの収益源だけに依存していない

ということです。

この違いは、

退職後の安定した収入を考える上で、大きな意味があると思います。

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理由④ 分配金は株価ほど大きく変動しにくい

SPYIの分配金も毎月変動します。

決して一定ではありません。

しかし、

株価そのものと比べると、

分配金の変動幅は比較的小さくなる傾向があります。

これは、

企業配当だけではなく、

オプションプレミアムという収益源もあるためです。

つまり、

株価は大きく上下していても、生活費となるキャッシュフローは比較的安定しやすい

という特徴があります。

退職後の生活では、

資産評価額よりも、

毎月どれだけ安心して生活費を受け取れるかが重要になる場面も少なくありません。

シミュレーションでは見えないSPYIの価値

今回のシミュレーションでは、

S&P500インデックスファンドの方が資産を多く残せるという結果になりました。

この結果自体は、

私も否定しません。

しかし、

シミュレーションで比較したのは、

資産残高

です。

一方、

退職後の生活では、

生活費をどう確保するか

という視点も欠かせません。

私は今回の検証を通して、

SPYIは資産を最大化するETFではなく、

シーケンスリスクを緩和しながら、キャッシュフローを重視するためのETF

という見方ができるのではないかと考えるようになりました。

私が退職後にSPYIを選びたい理由

私は退職後に資産を大きく増やしたいとは思っていません。

それよりも、

毎年安定したキャッシュフローを受け取りながら、

相場に一喜一憂せず生活できることを重視しています。

もちろん、

S&P500インデックスファンドの定率取り崩しは、

非常に合理的な方法です。

一方で、退職後は、

暴落直後にも生活費を確保し続けなければなりません。

そのとき、

生活費の原資が売却(ROC)だけではなく、

配当やオプションプレミアムにも支えられているSPYIは、

私にとって非常に魅力的な選択肢に映ります。

だから私は、

資産を最大化することよりも、

シーケンスリスクをできるだけ抑えながら、長く安心して生活費を受け取り続けることを重視し、

退職後はSPYIやQQQIを中心とした運用を考えています。

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まとめ

S&P500インデックスファンドの定率取り崩しとSPYIの分配金、

どちらにも優れた点があります。

資産残高や期待リターンを重視するなら、

S&P500インデックスファンドが有力でしょう。

一方で、

退職後のキャッシュフローやシーケンスリスクを重視するなら、

SPYIにも大きな魅力があります。

退職後の資産運用に必要なのは、

「資産をいくら増やせるか」だけではありません。

暴落相場でも安心して生活を続けられる仕組みを持っているか。

その視点で考えたとき、

SPYIは単なる高配当ETFではなく、

退職後のキャッシュフローを支えるために設計されたカバードコールETFとして、十分に検討する価値があると私は考えています。

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