資産運用

退職金運用でQQQI・SPYIは高コスト?JEPQ・JEPIと比較

2026年9月8日

iDeCoやNISAを始めた頃、私がファンド選定で意識したのが、

「長期・分散・低コスト」

という考え方です。

この言葉は、投資の世界では広く知られています。

私自身も、長期で資産を運用するなら、できるだけ広く分散し、できるだけ低コストの商品を選ぶのが基本だと考えてきました。

ところが、定年後の生活を見据えて退職金3,000万円を20年間運用する「退職金運用ポートフォリオ」を考えていると、少し気になることが出てきました。

現在、私が候補としているのは、

  • QQQI

  • SPYI

  • SPHY

  • JPST

という4本のETFです。

このうちSPHYとJPSTは経費率が比較的低い一方、QQQIとSPYIは経費率が0.68%あります。

一方、同じようなカバードコールETFであるJEPQとJEPIの経費率は0.35%です。

その差は、

0.33ポイント。

一見すると小さな差に見えます。

しかし、退職金3,000万円を20年間運用するとなると話は変わります。

「0.33%くらいなら、高い分配金をもらえるQQQI・SPYIでいいのでは?」

とも考えられます。

しかし、

20年間の複利では、低コストの差は無視できない。

そこで私は、

QQQI・SPYIの高い経費率を払い続ける価値は本当にあるのか?

を検証することにしました。

そして調べていくうちに、単純な経費率比較では見えてこない、

ROC・QII・米国源泉税・外国税額控除・損益通算

という税務上の論点が出てきました。

この記事では、私自身の退職金運用を題材に、この問題を整理してみます。

私の退職金運用ポートフォリオ

私の現在の想定では、59歳で定年を迎え、退職金として約3,000万円を受け取ります。

定年後は再就職せず、退職金を運用しながら、公的年金などと組み合わせて生活する予定です。

退職金運用ポートフォリオは、現在のところ次の4本を基本としています。

ETF比率3,000万円の場合
QQQI30%900万円
SPYI30%900万円
SPHY30%900万円
JPST10%300万円
合計100%3,000万円

QQQIとSPYIで株式カバードコール、SPHYで高利回り債券、JPSTで短期債券を組み合わせます。

狙っているのは、若い頃と異なり資産成長ではありません。

定年後に再就職せず、運用資産から安定したキャッシュフローを得ること

です。

そのため、一般的な「低コストのインデックス投資」とは、少し違った考え方も必要になります。

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まず気になったのが「経費率」の差

今回、特に気になったのがQQQIとSPYIの経費率です。

QQQI・SPYIは、

経費率:0.68%

です。

一方、ライバルとして比較しているJEPQ・JEPIは、

経費率:0.35%

です。

差は、

0.68%-0.35%=0.33%

です。

3,000万円をすべて同じ経費率の商品に投資したと仮定すると、

3,000万円×0.33%=9万9,000円

です。

つまり、単純計算では年間約10万円の差になります。

20年間なら単純合計でも約198万円。

しかも実際には資産残高に応じてコストが発生するため、複利の影響を考えれば差はさらに大きくなります。

「長期・分散・低コスト」という原則から考えれば、

JEPQ・JEPIのほうが魅力的なのではないか?

という疑問が生まれます。

しかし、ETFの「経費率」だけを比較していいのか?

ここからが今回の本題です。

ETFのコストを比較するとき、私は当初、

経費率=コスト

と考えていました。

もちろんこれは重要です。

しかし、退職金運用のように分配金を受け取り続ける場合、もう一つ無視できないものがあります。

それが、

税金です。

特に米国ETFでは、

  • 米国での源泉税

  • 日本での課税

  • 外国税額控除

を考える必要があります。

さらにカバードコールETFや債券ETFでは、

ROC(Return of Capital)

QII(Qualified Interest Income)

という仕組みがあります。

ここを理解しないと、QQQI・SPYIとJEPQ・JEPIの本当の比較はできません。

ROCとは何か?

まずROCです。

ROCは、

Return of Capital

の略です

日本語では「資本返還」などと説明されます。

重要なのは、米国ETFの分配金にROCとして分類される部分があった場合、日本居住者が米国で受け取る際の源泉税の扱いが通常の配当とは異なることです。(NEOS「Understanding Return of Capital(ROC)」moomoo証券「米国株のROC(Return of Capital)とは何ですか」

 

QIIとは何か?

次にQIIです。

QIIは、

Qualified Interest Income

の略です。

主に債券ETFなどで問題になる仕組みです。

米国の一定の税制上の要件を満たす利子所得について、米国以外の国の投資家に分配する場合、一定割合について米国源泉税が免除されます。

ROC・QIIを「日本課税」と混同しない

ここは今回の記事で最も強調したい部分です。

正確には、次のように分けて考える必要があります。

米国側

ROCやQIIに該当する部分

米国源泉税が免除される

日本側

米国ETFからの分配金

日本の税制に基づいて課税

つまり、

ROC・QIIによる米国源泉税の軽減と、日本の課税は分けて考えなければなりません。

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具体例|100万円の分配金ならどうなる?

例えば、米国ETFから年間100万円の分配金を受け取ったとします。

通常の米国源泉税対象部分が100%なら、

100万円×10%=10万円

が米国で源泉徴収されます。

一方、ROC+QIIが50%なら、

米国源泉税の対象は50万円。

したがって、

50万円×10%=5万円

です。

ROC+QIIが80%なら、

20万円×10%=2万円

です。

ROC+QIIが100%なら、

米国源泉税は0円

となります。

つまり、

ROC・QIIがあるから米国源泉税が一律0%になるのではなく、ROC・QIIの比率に応じて、米国源泉税の対象となる部分が小さくなる

と理解するのがポイントです。

私のポートフォリオではROC・QIIがどう効くのか?

ここで、現在のポートフォリオに当てはめます。

3,000万円を、

  • QQQI:900万円

  • SPYI:900万円

  • SPHY:900万円

  • JPST:300万円

に投資します。

過去の分配利回りと税務分類を一定と仮定したモデルでは、年間分配金は約312万円です。

内訳は概算で、

ETF投資額年間分配金
QQQI900万円約126.1万円
SPYI900万円約108.4万円
SPHY900万円約64.7万円
JPST300万円約13.1万円
合計3,000万円約312.3万円

となります。

2025年の税務分類を使ったモデルでは、QQQI・SPYIはROC・QIIの割合が非常に高く、SPHY・JPSTにもQIIがあります。(NEOS「2025 Distribution Tax Classification Examples」

その結果、米国源泉税は、

年間約1.9万円

という試算になりました。

年間分配金312万円に対して、米国源泉税が約1.9万円。

かなり小さい数字です。

一方、JEPQ・JEPIにするとどうなる?

同じ3,000万円を、

  • JEPQ:900万円

  • JEPI:900万円

  • SPHY:900万円

  • JPST:300万円

とします。

同じように分配利回りを固定したモデルでは、年間分配金は約254万円。

一方、JEPQ・JEPIについて通常の米国源泉税がかかる部分を100%とする保守的な仮定では、米国源泉税は約19.5万円になります。

つまり、

 QQQI・SPYI案JEPQ・JEPI案
年間分配金約312万円約254万円
米国源泉税約1.9万円約19.5万円

となります。

ここだけを見ると、

QQQI・SPYIの税務上の優位性はかなり大きい

ように見えます。

しかし、ここで終わりではありません。

外国税額控除という「もう一つの税金調整」

米国ETFを日本で保有すると、

米国でも税金、日本でも税金

という二重課税が発生する可能性があります。

これを調整する制度が、

外国税額控除

です。

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外国税額控除は、外国で納付した税額について、一定の限度額まで日本の所得税等から控除する制度です。

国税庁の計算では、所得税について、

所得税の控除限度額 = 所得税額 × 調整国外所得金額 ÷ 所得総額

という仕組みになっています。(国税庁「外国税額控除」

ここで重要なのは、

米国で10%払ったから10%全部が必ず戻る

という制度ではないことです。

外国税額控除には限度額があります。

私の場合、外国税額控除は使い切れるのか?

私は定年後、再就職しない予定です。

公的年金は60歳から繰上げ受給する計画で、年間約211.5万円です。

すると、60歳以降の主な所得は、

公的年金+ETF分配金

となります。(NISAやiDeCo等を除く)

ここで計算してみると、年間250~310万円程度のETF分配金がある場合、現在の税制を前提としたモデルでは、外国税額控除の限度額は米国源泉税をかなり上回る可能性があります。

つまり、

QQQI・SPYI案の米国税約1.9万円

も、

JEPQ・JEPI案の米国税約19.5万円

も、外国税額控除によって十分吸収できる可能性があります。

するとROC・QIIのメリットは小さくなる

ここで少し意外な結論になります。

QQQI・SPYIでは、

ROC・QIIが多い

米国源泉税が少ない

外国税額控除が少なくても大丈夫

一方、

JEPQ・JEPIでは、

ROC・QIIが少ない

米国源泉税が多い

しかし外国税額控除が多ければ大丈夫

となります。

つまり、外国税額控除を十分利用できるなら、

ROC・QIIによって米国源泉税が少ないことが、そのまま最終的な税負担の差にはならない

のです。

これは今回の検討で、私が特に注意したポイントです。

では、ROC・QIIには意味がないのか?

ここで、さらに一歩踏み込みます。

実は、

日本側の税金をどうするか

によって、ROC・QIIの価値が変わる可能性があります。

例えば、上場株式等の譲渡損失と配当等を損益通算する「損出し」を考えてみます。

上場株式等の譲渡損失は、一定の要件のもとで、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と損益通算できます。(国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」

例えば、

ETF分配金:100万円

に対して、

上場株式等の譲渡損失:100万円

があれば、日本側の課税対象を大きく圧縮できます。

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ここでROC・QIIの価値が変わってくる

仮に日本側の課税を大きく圧縮した結果、外国税額控除で米国源泉税を吸収する余地も小さくなったとします。

すると、

通常の米国配当

分配金100万円

米国源泉税10万円

損出し等で日本税がほぼゼロ
(外国税額控除の財源が無い)

米国税10万円が実質的な負担として残る

一方、

ROC・QIIが80%

分配金100万円

米国源泉税2万円

損出し等で日本税がほぼゼロ
(外国税額控除の財源が無い)

米国税2万円が実質的な負担として残る

です。

ROC・QIIが100%なら、

米国税0円

です。

つまりROC・QIIの価値は「投資家の税務状況」で変わる

ここが今回の検討で一番面白かったところです。

日本側で20.315%の課税を普通に負担している場合、

外国税額控除で米国税を吸収できる

ROC・QIIの最終的な税務メリットは小さい

ところが、

損益通算などによって日本側の課税を大きく圧縮すると、

外国税額控除の受け皿が小さくなる可能性

米国源泉税が実質的なコストになる

ROC・QIIの価値が高まる

という関係になります。

つまり、日本居住者にとって、

ROC・QIIの価値は、ETFの税効率設計だけで決まるものではない

のです。

そのETFを保有する投資家が、

日本でどれだけ税金を払っているのか

によって変わります。

経費率とROC・QIIを同じ土俵で比較してみる

ここは注意が必要です。

経費率と米国源泉税は、そもそもかかる対象が違います。

経費率は、

ETFの純資産に対して発生するコスト

です。

一方、米国源泉税は、

分配金のうち米国で課税対象となる部分

に対して発生します。

したがって、両者を単純に「0.68%対0.59%」のように比較することは適切ではありません。

ただし、今回の3,000万円という同じ運用規模に置き換えて、年間の実額で比較することはできます。

QQQI・SPYIとJEPQ・JEPIの経費率差は、

0.33%

なので、3,000万円では、

約9.9万円/年

です。

一方、今回のモデルでは米国源泉税の差が、

約17.6万円/年

でした。

したがって、

外国税額控除を利用できないと仮定した場合、年間の実額では、米国源泉税の差が経費率差を上回る

という結果になります。

ただし、これは「米国税の差が0.59%、経費率差が0.33%だから前者が有利」という意味ではありません。

経費率は資産残高に、米国源泉税は分配金の課税対象部分にかかる

という違いを踏まえた上で、3,000万円という具体的なケースの年間金額として比較しています。

日本側の課税がどの程度残ると逆転するのか?

ここでは、単純化した感度分析を行いました。

JEPQ・JEPIについて発生する米国源泉税のうち、外国税額控除で吸収できない部分を実質的な税コストとして計算しています。

日本側の通常税負担が残る割合QQQI・SPYIJEPQ・JEPI
100%0.680%0.350%
50%0.680%0.350%
25%0.680%約0.571%
10%0.680%約0.829%
0%約0.744%約1.001%

ここでいう%は、同じ運用額に対して、経費率と外国税額控除で吸収できなかった米国源泉税を年間コストとして換算したものです。

したがって、実際に同じ率の税金が資産全体にかかるという意味ではありません。

このモデルでは、

日本側の税負担が通常の水準から大きく低下するほど、ROC・QIIの多いQQQI・SPYIの税務上の優位性が大きくなる

ことが分かります。

ただし、これはあくまでROC・QIIの価値を見るための感度分析です。

実際の外国税額控除は、所得税・復興特別所得税・住民税それぞれについて正式に計算する必要があります。

また、「損出しをすれば日本税がゼロになり、その結果外国税額控除もゼロになる」という単純な関係でもありません。

ここで「長期・分散・低コスト」に戻ってみる

最初に私が気にしていたのは、

QQQI・SPYIの経費率0.68%は高すぎないか?

ということでした。

確かに、

長期運用

ではコストは重要です。

0.33ポイントの差でも、20年間積み重なれば無視できません。

しかし、退職金運用の場合には、

経費率だけでETFを選ぶこともできません。

見るべきなのは、

  • 分配金

  • トータルリターン

  • 経費率

  • ROC

  • QII

  • 米国源泉税

  • 外国税額控除

  • 損益通算

です。

私の退職金運用では「低コスト」だけでは判断できない

私の場合、定年後は再就職せず、

公的年金+ETF分配金

で生活することを想定しています。

そのため、一般的な現役世代の資産形成とは少し事情が違います。

例えば、

ケースA

日本で20.315%の課税を普通に負担する

外国税額控除を十分利用できる

ROC・QIIによる米国税の差は小さい

低コストのJEPQ・JEPIが有力

ケースB

損益通算などによって日本側の課税を大きく圧縮する

外国税額控除を十分利用できなくなる可能性

米国源泉税が実質コストになる

ROC・QIIの多いQQQI・SPYIが有力になる可能性

という違いがあります。

ただし「損出しのために損をする」のは本末転倒

ここは注意が必要です。

損益通算は魅力的な制度ですが、

税金を減らすためだけに資産を売る

のは本末転倒です。

例えば100万円の含み損を確定させて20万円の税金を減らしたとしても、その資産を本来長期保有するつもりだったなら、

20万円の節税のために将来の値上がり機会を失う

可能性があります。

したがって私なら、

「損出しをするために投資する」のではなく、「もともと売却を検討していた資産に含み損があるなら、損益通算を活用する」

くらいの位置付けで考えます。

結局、QQQI・SPYIからJEPQ・JEPIに変更すべきなのか?

現時点では、私はまだ変更しないと考えています。

理由は、経費率だけを見るとJEPQ・JEPIが魅力的ですが、私の退職後の運用環境では、

  • 高い分配金

  • ROC・QIIによる米国源泉税の軽減

  • 再就職しないことによる所得構造

  • 損益通算の可能性

  • 外国税額控除

まで含める必要があるからです。

特に、日本側の課税をどこまで圧縮できるかによって、ROC・QIIの価値が変わります。

したがって、

「経費率が高いからQQQI・SPYIはダメ」

とは言えません。

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一方で「ROC・QIIがあるからQQQI・SPYIが絶対に有利」でもない

これも重要です。

ROC・QIIによる米国源泉税軽減は魅力的ですが、それだけでETFの優劣が決まるわけではありません。

最終的には、

① トータルリターン

20年間で資産がどれだけ増えるのか。

② 分配金

退職後の生活費をどれだけ生み出せるのか。

③ 経費率

長期間にわたるコストがどれだけになるのか。

④ ROC・QII

米国源泉税をどれだけ抑えられるのか。

⑤ 外国税額控除

米国で払った税金をどこまで日本で控除できるのか。

⑥ 損益通算

日本側の課税をどこまで圧縮できるのか。

この6つをまとめて考える必要があります。

20年間のシミュレーションではどうなる?

これまでの比較では、3,000万円を20年間運用し、分配金を生活費として受け取り、再投資しないモデルで比較しました。

一定の仮定のもとでは、

 QQQI・SPYI案50:50案JEPQ・JEPI案
初期資産3,000万円3,000万円3,000万円
累計税引後分配金約3,383万円約3,397万円約3,411万円
80歳時点残高約1,558万円約1,882万円約2,205万円
20年間の総手取り約4,941万円約5,279万円約5,616万円

という結果になりました。

ただし、これは将来の分配利回りやトータルリターンを一定としたモデルです。

実際には、

  • 株価

  • オプション収益

  • 金利

  • 信用スプレッド

  • 為替

  • 分配金

  • ROC

  • QII

などが変化します。

また、外国税額控除や損益通算についても、実際の所得状況によって結果は変わります。

したがって、この数字を「将来こうなる」と受け取るのではなく、

それぞれのETFにどの程度のリターンを期待すると結果が逆転するのか

を見るためのシミュレーションと考えています。

今回の検討で分かった「本当の分岐点」

私が最初に考えていたのは、

「QQQI・SPYIは経費率が高い。長期運用ならJEPQ・JEPIに変更したほうがいいのでは?」

ということでした。

しかし、税金まで調べると、単純ではありませんでした。

日本側で通常どおり課税されるなら、

外国税額控除によって米国税を吸収できる

ため、ROC・QIIの優位性は小さくなります。

ところが、

日本側の課税を損益通算などで大きく圧縮する

と、

米国源泉税が実質的なコストになり得る

ため、ROC・QIIの価値が大きくなります。

つまり、

経費率だけでは、「低コスト」の評価はできない

ということです。

私が今後も注目したいのは「経費率」だけではない

今回の検討を通じて、私はETFを比較するときの視点が少し変わりました。

以前なら、

経費率0.68% vs 0.35%

を見て、

「0.35%のほうが安い」

と考えていました。

もちろん、それは正しいです。

しかし、実際に3,000万円を20年以上運用するなら、

そのETFがどんな収益を生み出し、どの程度分配し、どんな税務上の性質を持ち、その税金を自分がどこまで取り戻せるのか

まで考える必要があります。

そして、経費率と税金は同じものではありません。

経費率は資産残高に対するコスト、米国源泉税は分配金の米国課税対象部分に対する税金です。

この違いを踏まえた上で、最終的な手取りキャッシュフローと資産残高を比較することが重要だと分かりました。

私の現時点での結論

現時点では、私は退職金運用ポートフォリオからQQQI・SPYIを外す決断はしていません。

むしろ今回の検討で、

「QQQI・SPYIは高コストだから再検討すべき」

という単純な結論から、

「高い経費率を払ってでも、それに見合う分配金・トータルリターン・税務上のメリットがあるのかを検証する」

という考え方に変わりました。

そして、ROC・QIIについても、

「税金がかからないから得」

という理解ではなく、

「ROC・QIIの比率に応じて米国源泉税の対象となる部分が減る。その米国税を外国税額控除で十分吸収できるかどうかによって、ROC・QIIの実質的な価値が変わる」

と理解するようになりました。

おわりに|経費率が低いから必ず有利というわけではない

「長期・分散・低コスト」は、非常に重要な投資原則です。

ただ、今回の退職金運用を検討してみて分かったのは、

経費率が低いから必ず有利というわけではない

ということでした。

特に私の場合は、

59歳で定年

再就職しない

3,000万円の退職金を運用

公的年金+ETF分配金で生活

20年以上運用

という、かなり特殊な条件があります。

だからこそ、

経費率

だけでなく、

分配金・トータルリターン・ROC・QII・米国源泉税・外国税額控除・損益通算

まで含めて考える必要があります。

今のところ、私の退職金運用ポートフォリオは、

QQQI 30%
SPYI 30%
SPHY 30%
JPST 10%

です。

このポートフォリオが本当に自分の老後に適しているのか。

カバードコールETFを、JEPQとJEPIの組合せにしたほうがいいのか。

それとも、もっとシンプルな低コストETFにしたほうがいいのか。

定年まであと数年あるからこそ、今のうちに何度でも検証しておきたいと思っています。

「長期・分散・低コスト」という原則を知ったうえで、

自分の人生と税務環境に合わせて、本当に長期保有できるポートフォリオを考える。

それが、私にとっての退職金運用なのだと思います。

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