Contents
10年ぶりに認知行動療法のカウンセリングへ
飛行機を回避してから始まったパニック症状の再悪化。
そして、日常生活の中で電車すら苦手になっていく感覚。
このままでは本当にまずいと思った私は、再び認知行動療法のカウンセリングを受けることにしました。
実に10年ぶりの再開でした。
久しぶりのカウンセリング室。
かつて不安階層表を作り、各駅停車から新幹線、そして飛行機へと挑戦していった頃の記憶が蘇ります。
あの頃、一歩ずつ積み上げていた感覚。
それを、もう一度最初からやり直すのです。
「新しい特効薬」を探していた自分
正直に言えば、心のどこかで期待していました。
この10年で、何か新しい画期的な治療法が生まれているのではないか。
もっと効率よく、もっと楽に回復できる方法があるのではないか。
しかし、実際のカウンセリング内容は、基本的に以前と同じでした。
・不安階層表を作る
・段階的に暴露する
・回避行動を減らす
・呼吸法や筋弛緩法でリラクゼーションを身につける
王道そのものです。
けれど私は、20年近くこの症状と付き合ってきています。
だからこそわかるのです。
結局、近道は存在しない。
認知行動療法は地味ですが、やはり本質的なのだと。
これまでのトレーニングは間違っていなかった
今回のカウンセリングで救いだったのは、
「これまでやってきたことは間違っていなかった」
と再確認できたことでした。
私は、以前の克服体験が崩れたことで、
「今までの努力は無意味だったのでは」
と感じていました。
しかし心理士さんは、有意義だったと言いました。
以前、実際に新幹線や飛行機へ乗れたこと。
それ自体が、認知行動療法の効果を証明しているのだと。
問題だったのは、
「維持のための反復練習」
でした。
確かに振り返ると、飛行機や新幹線に乗る機会は年に数回しかありませんでした。
実家帰省
長期休暇
出張
そうした限られた機会だけです。
時には1年以上、全く乗らない期間もありました。
つまり、成功体験を積み重ねる“頻度”が低かったのです。
克服を後退させた“長すぎる間隔”
今回、心理士さんから新しく学んだことがあります。
それは、
「トレーニングは、なるべく長く、なるべく頻繁に行った方が良い」
ということでした。
私はこれまで、
「一度克服できたことが、再びできなくなる」
ことに大きな絶望感を抱いていました。
しかし考えてみれば、筋トレでも語学でも、長期間やめれば衰えます。
パニック障害も、それに近い部分があるのかもしれません。
不安を感じる状況を避け続けると、
「やはり危険な場所だった」
と脳が再学習してしまう。
逆に、頻繁に成功体験を積み重ねれば、
「大丈夫だった」
という感覚を維持しやすくなる。
その説明は、とても納得できました。
今回の不安階層表
今回、改めて作成した不安階層表は以下のような内容でした。
| 階層 | 不安や恐怖を感じる状況 | 不安度 |
| 1 | 普通電車(駅間5分) | 60 |
| 2 | 普通電車(駅間10分) | 80 |
| 3 | 特急電車 | 100 |
| 4 | 新幹線 | 100 |
| 5 | 飛行機 | 100 |
(不安度0:苦痛なくできる、50:頑張ればできる、100:どうにもできない程不安)
改めて見ると、かなり厳しい状態です。
いきなり不安度60から始まっています。
しかし、駅間5分はこれ以上細かく分割できません。
すると心理士さんから、
「奥様と一緒に乗る、という形ではどうでしょう」
と提案されました。
その瞬間、私は思い出しました。
そういえば、最初の認知行動療法でも同じ方法を使っていたのです。
最初は“一人で挑戦する”ことにこだわりすぎていました。
しかし認知行動療法は、
「頑張れば何とかできそう」
というライン設定が重要です。
厳しすぎても駄目。
簡単すぎても駄目。
その絶妙なバランスを探しながら進める必要があります。
もう一度、各駅停車からやり直す
今の私は、飛行機どころか普通電車すら苦しい状態です。
かつて、のぞみに乗れたこと。
沖縄へ飛べたこと。
それらは、今の自分からすると遠い世界のようにも感じます。
けれど、以前も私は各駅停車から始めました。
快速
特急
新幹線
そして飛行機
時間はかかっても、積み重ねれば前へ進めることは、一度経験しています。
だから今回も、まずは日常生活の中で頻度高くトレーニングできる「普通電車」から。
もう一度、各駅停車からやり直そうと思いました。
