体験記

【認知行動療法⑩】2回目の飛行機に挑戦|羽田から札幌まで乗り切った体験

2026年5月10日

前回、私は11年ぶりに飛行機に乗りました。

伊丹空港から羽田空港までの約1時間。

搭乗前には強い不安がありましたが、実際に乗ってみると大きな問題は起こらず、無事に羽田まで到着することができました。

「11年ぶりに飛行機に乗れた」

これは、私にとって大きな成功体験でした。

だから次の飛行機トレーニングでは、

「前回乗れたのだから、今回はもっと楽に乗れるだろう」

と考えていました。

ところが、実際にはまったく違いました。

今回の目的地は札幌。

羽田から札幌まで、前回よりも距離も時間も長くなります。

そして、搭乗直前には、これまで経験した中でもかなり強い不安が襲ってきました。

それでも私は、何とか飛行機に乗り、札幌まで到着することができました。

今回は、その過程を振り返ります。

前回の成功で自信がついていた

前回の飛行機トレーニングでは、11年ぶりに飛行機に乗りました。

それまで私は、パニック障害を発症してから飛行機を避けていました。

しかし、実際に乗ってみると、搭乗前に想像していたほどのことは起こりませんでした。

その経験は、私にとって大きな自信になりました。

それまで、

「自分は飛行機に乗れない」

と思っていたのが、

「飛行機に乗ることができた」

という事実に変わったからです。

そのため、今回の羽田-札幌については、

「前回できたのだから、今回も大丈夫だろう」

と考えていました。

ところが、今回のトレーニングでは、その自信がそのまま通用するわけではありませんでした。

搭乗前から少しずつ不安が強くなった

当日は、最初から強い不安があったわけではありません。

しかし、搭乗時間が近づくにつれて、徐々に不安が強くなっていきました。

そこで、同行者との雑談などをしながら、できるだけ意識を別のところに向けました。

話をしている間は、多少気がまぎれます。

ところが、保安検査を通過すると、

「もうすぐ飛行機に乗らなければならない」

という現実が近づいてきます。

すると、再び不安が強くなってきました。

そして搭乗時間が近づくにつれて、その不安はさらに大きくなっていきました。

搭乗直前、過去最大級の回避衝動

いよいよ搭乗直前。

ここで、かなり強い不安が出てきました。

前回の伊丹-羽田では、搭乗直前にも不安はありました。

しかし、今回はそれとは比較にならないほどでした。

正直、

「とても乗れない」

と思うほどでした。

手の震えもあり、身体にもはっきりと反応が出ていました。

頭では、

「前回は乗れた」

「今回も大丈夫なはずだ」

と分かっています。

それでも、身体の反応は別でした。

「ここでやめたい」

「帰りたい」

という気持ちが強くなっていきました。

「前回乗れたのに、なぜこんなに怖いのか」

ここで私は、少し戸惑いました。

前回は11年ぶりの飛行機に乗ることができた。

その成功体験もあります。

それなのに、今回はこんなにも怖い。

当時の私は、

「前回成功したのだから、今回はもっと簡単にできるはず」

と、どこかで考えていたのだと思います。

しかし、実際にはそうではありませんでした。

不安は、毎回同じように現れるわけではありません。

同じ飛行機でも、状況が違えば感じ方も変わります。

この経験から、私は、

「一度成功したから、次も必ず同じようにできる」わけではない

ということを実感しました。

それでも、ここで逃げたくなかった

それでも、私は搭乗を諦めませんでした。

強い回避衝動がありながらも、

「ここで逃げたくない」

という気持ちがありました。

もう一つ、

「これまでやってきたことを無駄にしたくない」

という思いもありました。

もちろん、「努力したのだから絶対に乗らなければならない」という意味ではありません。

ただ、ここまで何度も不安と向き合いながら挑戦してきた自分としては、

「怖くなったから、ここですべてをやめる」

という選択はしたくありませんでした。

そこで、もう一度、これまでのトレーニングを思い出しました。

不安が消えなくても、搭乗することはできる

これまでの電車のトレーニングでも、私は何度も、

「怖い」

と思いながら乗ってきました。

もちろん、途中で回避したこともあります。

途中下車したこともあります。

それでも、そのたびにまた挑戦してきました。

今回も同じです。

不安をゼロにすることができなくても、

「不安がある状態で、それでも搭乗する」

ということはできる。

そう考えることで、何とか搭乗することができました。

何とか飛行機に乗った

そして、私は羽田から札幌へ向かう飛行機に乗りました。

搭乗できたからといって、すぐに不安がなくなったわけではありません。

しばらくは不安定な状態が続きました。

それでも、時間が経つにつれて少しずつ持ち直していきました。

そして、

無事に札幌へ到着しました。

結果だけを見れば、今回も「飛行機に乗ることができた」という成功です。

しかし、前回とは少し違いました。

前回の伊丹-羽田では、11年ぶりの飛行機に乗れたことに大きな達成感がありました。

今回は、

「乗れたけれど、かなり大変だった」

というのが正直な感想でした。

「成功したのに、うまくいかなかった」という感覚

今回の経験で面白かったのは、

成功したのに、達成感があまりなかった

ことです。

飛行機には乗れました。

札幌にも到着しました。

結果だけを見れば、明らかに成功です。

しかし、搭乗前の不安があまりにも強かったため、

「楽に乗れた」

「もう飛行機は大丈夫だ」

という感覚にはなりませんでした。

以前の私なら、

「こんなに怖かったのだから、やっぱり飛行機は無理なのではないか」

と考えていたかもしれません。

しかし、今回は少し違いました。

「怖かったけれど、それでも乗ることができた」

という事実に目を向けることができました。

今回の経験から分かったこと

今回の飛行機トレーニングでは、前回とは違ったことを学びました。

① 一度の成功だけでは、不安は安定しない

前回、飛行機に乗れたからといって、今回も同じように乗れるとは限りませんでした。

状況によって、不安の強さは変わります。

私の場合、今回の搭乗前には前回以上の強い不安が出ました。

つまり、

「一度できた=もう大丈夫」

ではありませんでした。

② 強い不安が戻ってきても、これまでの進歩が消えたわけではない

今回、搭乗前にはかなり強い不安がありました。

しかし、それによって、

「これまでのトレーニングは全部無駄だった」

とは思いませんでした。

実際、私は今回も飛行機に乗ることができました。

前回より難しいと感じた状況でも、搭乗できた。

だから私は、

不安が強くなったことと、これまでの進歩は別の話

だと考えるようになりました。

③ 「成功」と「楽にできる」は同じではない

今回の経験で、これも大きな発見でした。

飛行機に乗れた。

だから「成功」です。

でも、

「不安なく楽に乗れた」

わけではありません。

これまでの私は、成功するなら「不安なくできること」だと思っていたのかもしれません。

しかし今回、

「不安が強い中でも、行動できた」

こと自体が一つの成功なのだと感じました。

前回の成功体験が無駄だったわけではない

では、前回の伊丹-羽田での成功は何だったのでしょうか。

今回の経験を振り返ると、前回の成功は決して無駄ではありませんでした。

むしろ、

「一度乗れた」

という経験があったからこそ、

「今回も何とかやってみよう」

と思うことができたのだと思います。

ただし、成功体験は「次も必ず不安なくできる」という保証ではありません。

私の場合は、

「次の挑戦に向かうための材料」

として役に立ったのです。

これは、今回のトレーニングでかなり重要な発見でした。

「いつでも不安なく」ではなく、「不安があっても行動できる」

この頃の私は、

「いつでも不安なく飛行機に乗れるようになりたい」

と考えていました。

しかし、今回の経験をすると、その目標設定自体を少し考え直すようになりました。

なぜなら、

不安を完全になくすことは、私には難しい

と分かってきたからです。

それよりも、

「不安が強い日でも、必要なら行動できる」

ことのほうが重要なのではないか。

そう考えるようになりました。

今回も、搭乗直前には強い不安がありました。

それでも、私は札幌まで行くことができました。

この経験は、次の挑戦に向けて大きな意味を持つものになりました。

認知行動療法のトレーニングは一直線ではなかった

これまでの私のトレーニングを振り返ると、きれいな右肩上がりではありません。

電車に乗れるようになった

↓

乗車直前で回避した

↓

また乗れるようになった

↓

新幹線ひかりで途中下車した

↓

30分を超える無停車区間を乗り越えた

↓

新幹線のぞみに乗れた

↓

11年ぶりに飛行機に乗れた

↓

そして今回、飛行機の搭乗直前に強い不安が出た

それでも、最終的には札幌まで行くことができました。

こうして振り返ると、

「前進→後退→再び前進」

の繰り返しです。

当時は一つ一つの出来事に一喜一憂していました。

しかし、長い目で見ると、少しずつ行動できる範囲は広がっていました。

今回の「成功」は、前回とは違う意味を持っていた

前回の伊丹-羽田で得たものは、

「11年ぶりでも飛行機に乗れる」

という発見でした。

今回の羽田-札幌で得たものは、

「一度成功した後に、強い不安が戻ってきても、それでも乗ることができる」

という経験でした。

これは、前回とは違う種類の成功だったと思います。

不安が少ない状態で乗れたことだけが成功なのではありません。

不安が強くなったときにも、

「それでもどうするか」

を考えて行動できた。

私にとっては、こちらのほうが今後につながる経験だったのかもしれません。

次の挑戦へ

今回、羽田から札幌まで飛行機に乗ることができました。

ただ、私はまだ、

「飛行機を完全に克服した」

とは考えていません。

むしろ、今回の経験によって、

「一度成功しただけでは安定しない」

という新しい課題が見えてきました。

だからこそ、次も飛行機に乗ってみる。

一度だけではなく、何度か経験を重ねる。

そうすることで、

「飛行機に乗れた」から「飛行機に乗ることが特別なことではなくなる」

というところまで近づけるのではないか。

そんなことを考えるようになりました。

私の飛行機トレーニングは、まだ続きます。

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