これまでにも、
病院に行ったことはありました。
薬も飲んでいました。
それでも、
「良くなっている実感」は、ほとんどありませんでした。
このまま同じことを繰り返していても、
何も変わらないのではないか。
そう感じ始めていました。
日常の中に入り込んでくる不安
その頃の不安は、
特定の場面だけではありませんでした。
むしろ、
何でもない日常の中で突然やってきました。
例えば、風呂上がり。
何も問題なく過ごしていたはずなのに、
ふとした瞬間に、
スッと体の中の感覚が変わります。
「この感じはまずい」
そう思った瞬間、
頭の中で過去の記憶が一気によみがえります。
強い不安に襲われた時の感覚。
「また来るかもしれない」
そう考えた時点で、
もう逃げられません。
大丈夫だと自分に言い聞かせても、
不安は少しずつ強くなっていきます。
そして最後は、
「あの時の状態に戻ってしまうのではないか」
という恐怖に変わります。
もう一つの変化
同じ頃、
自分でもおかしいと思う行動が増えてきました。
”確認行為”です。
食べ物を口に入れる前に、
何度も見直す。
一度手に取って、戻して、また確認する。
「これで本当に大丈夫か」
そう考え続けるうちに、
簡単なことにも時間がかかるようになりました。
捨てるという行為にも、
妙な抵抗が出てきました。
ゴミを捨てるだけなのに、
なぜか強い“ためらい”がある。
自分でも理由は分かりません。
ただ、確実に、
何かが普通ではなくなっていました。
転機になったきっかけ
そんな時、
妻が一つの記事を見せてくれました。
パニック障害を専門とするクリニックの紹介でした。
それを見たとき、
ふと思いました。
「今まで、ちゃんと向き合っていなかったかもしれない」
これまでの通院は、
どこか受け身でした。
薬をもらうための場所。
それ以上でも、それ以下でもありませんでした。
3年ぶりの決断
気がつけば、
ほぼ自己判断で薬を飲み続けて3年が経っていました。
このままではいけない。
今度こそ、
ちゃんと向き合おう。
そう思い、
そのクリニックを予約しました。
届いた“厚い封筒”
予約後、
自宅に一通の封筒が届きました。
中には、かなりの量の書類が入っていました。
問診票です。
生い立ち。
これまでの生活。
症状の詳細。
一日の過ごし方。
細かく書くよう求められていました。
正直、面倒でした。
でも同時に、
こうも思いました。
「ここまで詳しく把握してくれるのか」
初めて“整理する”
書いていくうちに、
自分の状態を初めて言葉にしている感覚がありました。
これまでは、
「うまく説明できない」と思っていました。
でも実際には、
整理していなかっただけなのかもしれません。
診察で感じた違い
診察では、
その問診票をもとに、かなり細かく質問されました。
これまでの受診とは明らかに違いました。
一つ一つの答えに対して、
さらに深く聞かれます。
時には、
少し厳しく感じることもありました。
「なぜそう考えるのか」
「その時、どう感じたのか」
逃げられないような感覚もありました。
でも、そのやり取りの中で、
はっきり感じたことがありました。
「ちゃんと見ようとしてくれている」
これまで感じたことのない感覚でした。
診断と説明
診断は、
これまでとは異なるものでした。
そして、
それに基づいた治療方針が提示されました。
薬についても、
なぜそれを使うのか、
どのような経過をたどるのか、
具体的に説明がありました。
納得して受ける治療
これまでの私は、
「言われたから飲む」状態でした。
でもこの時は違いました。
理解した上で、
納得して受ける。
その違いは大きかったと思います。
すぐに劇的に良くなったわけではありません。
でも、
確実に違いはありました。
少しずつ、
「大丈夫な時間」が増えていく感覚。
それは、
これまで感じたことのない変化でした。
振り返って思うこと
この時が、
本当の意味でのスタートだったのかもしれません。
症状がなくなったわけではありません。
でも、
向き合い方が変わりました。
同じ「受診」でも、
その中身は大きく違うのだと思います。
この時、
ようやく「向き合える場所」に出会えた。
そんな感覚がありました。
ここから、
少しずつ生活を立て直していくことになります。
すぐにうまくいくわけではありませんが、
試行錯誤を重ねていきました。
その過程についても、
書いていこうと思います。
